セネガルとポーランド、ともにエース不発
ポーランドのレバンドフスキと、セネガルのマネ。これから日本と対戦する両国の激突はセネガルに軍配が上がったが、エースの不活発という点ではどっこいどっこいだった。
レバンドフスキの場合は不振というより、生きたボールが味方から届かなかった。「チャンスがなかなかなかった。これがW杯。コロンビアも(日本に)負けた。簡単じゃない」と難しい顔になっている。
所属先のバイエルン・ミュンヘンでは、前線でじっとしていれば味方が腕によりをかけたパスを届けてくれる。ポーランドのアシスト環境はそこまでよろしくない。そこに目をつけたセネガルは、フィールドプレーヤー10人がまじめに足を動かして、パスの連絡を徹頭徹尾絶つことで万能ストライカーを無力化した。
手持ち無沙汰のレバンドフスキはしばしば持ち場を離れてチャンスメークに努めたが、前線に怖い人がいなくなってセネガルは大助かり。日本もこの手は使える。
ただし、勝ったセネガルも自分たちのエースのことはうまく生かせていない。
この日キャプテンマークを腕に巻いたマネは、味方をパスで動かすばかりで自分はあまり動かなかった。ポーランドのオウンゴールを誘ったMFゲイのシュートはマネの横パスに呼応したものだが、手柄はそれくらい。
所属先のリバプールでサラー(エジプト)、フィルミノ(ブラジル)と3トップを組み、プレミアリーグと欧州チャンピオンズリーグ(CL)で10点ずつを決めた韋駄天(いだてん)が、妙にくたびれた印象だった。
欧州CLの決勝まで戦った疲労残りに見えて案外、先を見すえての「死んだふり」かも? 元気がないならないで日本を悩ませる、困った選手なのである。
(モスクワ=阿刀田寛)