日本の初戦コロンビア エースへの「糸」断ち切れ
日本代表が初戦で乗り越えるべき壁、コロンビア(世界ランク16位)はアルゼンチン出身のペケルマン監督が2012年から指揮を執る。14年W杯ブラジル大会では8強入り。1次リーグで日本を4-1と粉砕した当時から要所のキャストは変わらない。アルゼンチンで育成の手腕が高かった「教授」のもと、一貫性に沿って育まれたチームといえる。
何でも可能にしそうな精度の左足を誇るMFロドリゲス(バイエルン・ミュンヘン)が注目を集めるが、チームを安定させる「スタビライザー」は32歳のボランチ、C・サンチェス(エスパニョール)だ。鼻が利き、DFが食い止めたボールを最終ラインの前で抜かりなく拾う。身長182センチ。奪う力も高く、ボールの預けどころになれる。
この背番号「6」にボールが収まると、一つ前にいる背番号「10」のロドリゲスが動き出してパスを引き取る。「6」と「10」がひもでつながれているかのような関係性で中盤を制していく。
日本としては2人を自由にさせたくない。前線の選手がC・サンチェスへのパスルートに制限をかけるとともに、ボランチ2人がロドリゲスに目を光らせ、2人の糸を断ち切りたいところだ。
23歳のCBミナはバルセロナの一員となった初めてのコロンビア選手で身長194センチ。22歳のD・サンチェスもトットナムで出番を得ている。身体能力の高い2人が台頭して守備面はよりパワーアップした。
4-2-3-1の布陣で両翼は右にドリブラーのJu・クアドラード(ユベントス)、左はウリベ(アメリカ)やムリエル(セビリア)を配する。運動量豊富なウリベなら周りを生かせて攻めが潤滑になり、馬力あふれるムリエルなら単独打開が見込める。
ロドリゲスが自由に動き回るとともに、左右からのアタックで守備を揺るがし、中央のファルカオ(モナコ)がフリーになる瞬間をチーム全体でつくり出す。ムリエルが強引にでもシュートへ持ち込むタイプなら、バッカ(ビリャレアル)はわずかなシュートチャンスも逃さぬ老練さがある。編成も戦い方も理知的で、攻守ともに高い水準でバランスが取れている。
3月にはフランスに2点リードされてから、主導権を奪い返して逆転勝ちし、視察した日本関係者を震え上がらせた。ただ、その後の親善試合は2戦引き分け。6月1日にはほぼベストメンバーでエジプトと0-0だった。左SBファブラが負傷でメンバーから外れ左サイドの攻撃力は減り、GKオスピナ(アーセナル)も鉄壁とまではいえない。
ロドリゲスによる創造性を封じつつ、規律のとれたサッカーを意外性の乏しい停滞へ転じさせることが可能なら、日本の勝ち点も見込めなくはない。
(岸名章友)