西野J、実力差のまま0-2でスイスに完敗
やりたいサッカーを素直にぶつけ、実力差のままに素直に日本は完敗した。
スイスがぎこちなく、ミスもしてくれた前半に得点を奪っていれば金星も望めただろう。「向こうにやりたいことをさせてなかった。チームで確認しておきたかったことに一定の手応えはある」と本田。意欲的に球を追って高い位置で網にかけ、素早く攻撃に移る。あるいは左右にボールを行き来させながら打開の糸口をうかがった。
悪くはないボールの運び、攻撃だった。ただし世界ランク10傑のレベルの相手になると、「悪くはない」程度では勝利はついてこない。日本が好きにさせてもらえたのはペナルティーエリアの前まで。左右のクロスは悠々とはね返され、中央を突くパスや崩しも相手の読みと想定の範囲内。肝心なゾーンで「変化、迫力が足りなかった」と西野監督は認めた。
直前に大迫が負傷交代する事態があったにせよ、前半も終わろうかという時間に失点。後半のスイスはすっかり気を楽にして、伸び伸び攻めた。
1失点目ではSB酒井高が相手と入れ替わられて突破を許し、真正面で向き合わざるを得なくなったCB吉田との接触でPK判定が下された。「止めるならエリアの外ですべきだった。不必要なPK」と吉田は反省する。その前段の酒井高については「数十センチのアプローチ、ボールへのアタックの技術」(西野監督)の拙さが当てはまる。
守りの「個」の部分で破綻をきたし、攻めでは「個」の不足を補うグループワークをやり切れない。「相手の方がうまいのに、こっちが走りで上回れていない」と長友は振り返る。残り10日あまりで世界との差をひっくり返す可能性は低いと気がめいりそうになるが、西野監督のとらえ方は違う。「ネガティブになることはない。チームとしては危機感までは感じていません」
(ルガノ=岸名章友)