NTT東千葉事業部など、観光向けIoT構築
NTT東日本千葉事業部は、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」機器開発のスタートアップ企業などと連携し、宿泊・観光施設向けの「IoT」の仕組みを構築した。観光業の生産性を高め、成田空港を利用するインバウンド(訪日外国人)を集客する狙い。2020年東京五輪に向け、県内の宿泊施設などに導入を働き掛ける。
第1弾として、NTT東やIoT機器のスタートアップ企業・アクアビットスパイラルズ(東京・港)、京葉銀行や佐原信用金庫などが設立したファンドから融資を受けた観光まちづくり会社「ニッポニアサワラ」(千葉県香取市)が組み、江戸の町並みが残る香取市佐原地区の宿泊施設や観光施設に本格導入した。
各施設には、アクアビット社が開発した読み取り機器「スマートプレート」を設置。利用者がスマートフォン(スマホ)をかざすと、宿泊施設の利用方法や観光地の案内をスマホに取り込むことができる。日本語、英語、中国語、タイ語の4カ国語に対応し、利用者が設定した言語で表示する。導入費用は1棟当たり約15万円で、ランニングコストは月額2万円。
古民家などを改装した「佐原商家町ホテルNIPPONIA」では、客室にスマートプレートを置き、従業員が客室に赴いて館内説明する時間を削減。相部屋などの「HOSTEL Co-EDO」は客室内にスマートプレートを置くほか、フロントにネットワークカメラを取り付け、従業員を常時配置しなくても対応できる運営体制にした。伊能忠敬記念館や香取神宮などにもスマートプレートを設置している。
日本の観光・宿泊業は生産性が低いとされる。NTT東は「IoT活用でインバウンド対応と労働力不足の解消の両立が期待できる」(千葉事業部の北島克朗氏)と説明する。HOSTEL Co-EDOでは外国語対応できる従業員を3人採用する予定だったが、IoT導入により、1人で運用できるようになったという。多言語対応のパンフレット費用も3割程度削減できる見込み。
NTT東などは使い勝手を今後も検証したうえで、20年東京五輪の開催までに県内の6地区の宿泊施設で導入できるように働き掛ける。外国人観光客の多い成田市周辺や、五輪競技会場周辺の千葉市、東京ディズニーリゾート(TDR)周辺の浦安地区などを想定している。