IMF、アルゼンチンへ支援合意 融資枠5兆4800億円
【サンパウロ=外山尚之】アルゼンチン政府は7日、国際通貨基金(IMF)と500億ドル(約5兆4800億円)の融資枠設定で合意したと発表した。通貨ペソが急落するなか、IMFの支援で通貨の下支えをねらう。アルゼンチン政府は支援の条件として、2019年の財政赤字を国内総生産(GDP)比で1.3%にするという財政再建策を受け入れた。
今後3年間、緊急時に融資を受けられる「スタンドバイ融資枠」を設定する。ドゥホブネ財務相はブエノスアイレスで記者会見し「国際社会のアルゼンチンへの支援を反映しており、とてもよいニュースだ」と述べた。
アルゼンチン中央銀行は通貨防衛のために3度の緊急利上げで政策金利を年40%に設定した。しかし、通貨安は収まらず、マクリ大統領は5月8日にIMFに支援を要請していた。
アルゼンチン政府が受け入れた財政再建策は、19年の財政赤字をGDP比で1.3%と、18年目標の2.7%から大幅に削減する内容だ。アルゼンチン国内では過去のデフォルト(債務不履行)の際にIMFに緊縮財政を押しつけられたとして反発が強いものの、ドゥホブネ氏は「魔法はなく、我々は自分で問題を解決する必要がある」とアルゼンチン国民に理解を求めた。
当初、アルゼンチンは300億ドルの融資枠を求めていたが、交渉を重ねる中で支援額が膨らんだ。一因は外貨準備だ。アルゼンチン中央銀行は通貨ペソ下支えのため市場介入を繰り返し、外貨準備高は5日時点で4月のペソ急落時から3割近く減少していた。
IMFのラガルド専務理事は今回の合意を受け「金融支援の提供に貢献できることを喜ばしく思う」との声明を発表した。IMFはかねてアルゼンチンの19年の財政赤字をGDP比で1.0%に抑えるよう求めていたが、アルゼンチン国内の反発を受け財政赤字削減ペースを緩める案に同意した。