米ウイスキー、報復関税の標的に 米蒸留酒協会「多大な懸念」
米国が発動した鉄鋼・アルミニウム輸入制限への対抗策として、各国が米国産ウイスキーを報復関税で狙い撃ちする姿勢を見せている。ロビイスト団体の米蒸留酒協会(DISCUS)は7日、米国からの輸出する蒸留酒の46%、ウイスキー(バーボン含む)に限ると65%が報復関税の対象になり得るとの試算を発表した。近年、業界の急成長を支えてきた国外需要への悪影響に米業界が懸念を深めている。
同試算は、DISCUSがウィルバー・ロス商務長官に充てた公開書簡で公表した。米国産ウイスキーには欧州連合(EU)、メキシコ、中国がそれぞれ25%、カナダが10%の課税を提案している。トルコは全種の蒸留酒に40%の課税を検討しており、合計金額で7億5900万ドル(約835億円)相当の輸出品が報復関税の対象になり得るという。
DISCUSによると米国産蒸留酒の2017年の輸出額は16億4000万ドルで、過去20年で約3倍に拡大した。特に近年は欧州や中国向けに米国産ウイスキーの人気が急拡大。バーボンやテネシー・ウイスキー、ライ・ウイスキーなど関連製品は同期間に輸出額が約4倍に増えている。
蒸留酒関連業界は、米国で小売りや輸送など関連業も含め、150万人を雇用するという。DISCUSは「主要な交易パートナーである各国による関税導入は、業界の発展と雇用拡大を支えてきた輸出需要の先行きを脅かす」と訴えている。
米国のウイスキー主要産地であるケンタッキー州やテネシー州は伝統的に共和党が強い。各国が対抗関税でウイスキーを標的にすることでトランプ政権に揺さぶりをかける狙いもあるようだ。米ウイスキーの輸出が打撃を受ければ、バーボン生産大手のビームサントリーの業績にも影響が出る可能性もある。
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