火星のメタン、夏に増える NASAの無人探査機
【ワシントン=共同】米航空宇宙局(NASA)のチームは、火星で活動する無人探査機キュリオシティによる観測で、夏に大気中のメタンが増え、春や秋には減る変化を繰り返すことが分かったと、7日付米科学誌サイエンスに発表した。
火星のメタンはキュリオシティが既に確認し、2014年に発表された。かつて存在した微生物がメタンをつくった可能性も否定できないが、生命とは無関係な化学反応でできた可能性があり、はっきりしていない。
キュリオシティは、火星の赤道付近にあるクレーターで火星の約3年(地球の約5年)にわたりメタン濃度を観測。北半球の夏の終わりにピークを迎え、春と秋には大きく減少した。濃度の差は最大約3倍だった。
地表の温度が高くなる季節には、地中のメタンが大気中に放出されるのではないかとみている。
このクレーターは、地層などの状況から30億年以上前には大量の水で満たされた巨大な湖だったとみられており、今回、かつての湖底から採取した岩石から有機物を見つけた。この湖底跡からは、約6キロ離れた別の場所でも有機物が見つかっている。
こうした有機物は、生命活動や水中での化学反応で合成された可能性が考えられるという。