麻生財務相「首相答弁きっかけではない」 自民、調査報告に異論
麻生太郎財務相は5日の衆院財務金融委員会で、学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書改ざんをめぐり、2017年2月の安倍晋三首相の国会答弁がきっかけになったのではないかとの指摘に対して「首相の発言がきっかけでそういうことになったとの事実は認められていない」と否定した。国民民主党の今井雅人氏への答弁。
財務省が4日公表した調査報告書には、首相が17年2月に国会で自身や昭恵夫人の関与を否定した後、同省理財局で文書の廃棄が進められたとの経緯が記されている。麻生氏は「背景事情として記載したもの」と話し、首相答弁が一連の問題行為のきっかけではないとの見方を繰り返した。
麻生氏は同委員会で、調査報告書で改ざんや廃棄を主導したと結論づけた佐川宣寿前国税庁長官について「長官の職務に関してきちんと対応していた。適材適所だった」と述べ、長官への起用は適切だったとの従来の見解を変えなかった。
野党からは第三者委員会を設置して改めて経緯を調べるべきだとの指摘も出たが、矢野康治官房長は究極の第三者機関は検察であるなどとして、設けない考えを示した。
自民党の5日の総務会では、財務省の調査報告書について異論が出た。出席者からは「今回の報告で十分とは思わない」「役所の信頼を根っこから覆した。万死に値する」など厳しい意見が相次いだ。党内で文書改ざん問題の検証作業を実施することを決めた。
竹下亘総務会長は記者会見で「国会が嘘の報告ですり抜けると思ったら間違いだ。絶対に許してはいけない」と強調。麻生氏に関しては「役所内部の再発防止をしっかりやることが最大の責任だ」と続投を支持した。吉田博美党参院幹事長も会見で「辞めて謝罪するのは簡単だが、自分が火の粉をかぶっても改革する強い意志の表れを感じる」と擁護した。