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バドミントン桃田賢斗「感謝の気持ち忘れず戦う」

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5月に開かれたバドミントンの国・地域別対抗戦、男子トマス杯。シングルスで6戦全勝し、日本の準優勝に大きく貢献した桃田賢斗(NTT東日本)が日本経済新聞の取材に応じた。7月、3年ぶりに出場する世界選手権を控え「目の前の試合を、感謝の気持ちを持って戦う」と改めて宣言。再びエースとしての道を歩み始めた23歳に、違法賭博問題で出場停止になった2年前の苦い記憶、現在の快進撃の秘密、今後への思いを聞いた。

――今年1月に日本代表に復帰して5カ月がたった。今の成績や状態をどう見ているのか。

「ちょっと、うまくいきすぎているかなという印象がある。ハードな練習をこなしていて、フィジカル面で強くなった。それでもちょっとできすぎかなと逆に不安になっている」

――トマス杯準決勝のビクトル・アクセルセン(デンマーク)にストレート勝ちした試合。前半は様子を見ながら戦っていて、途中から勢いに乗ったようにみえた。

「久々の対戦だったので、お互い探り合いながらプレーしていた。慣れてきたあたりから相手のフィジカルも落ちてきて、体力的にきつそうだと思ったので。そこで一気にスピードを上げて離そうと思った」

――ラリーが続くと、相手がラリーを嫌がって決めにかかり、ポイントが入るようにみえた。

「相手の表情やプレーを見たときに疲れているなというのがよくわかった。でも、自分の中ではまだ余裕があった」

「長いラリーに耐えられるように」

――4月のアジア選手権では2016年リオデジャネイロ五輪金メダルの諶龍(中国)、五輪3大会連続銀のリー・チョンウェイ(マレーシア)ら強豪を次々と破って初優勝した。そのときも同じような状態だったのか。

「長いラリーに耐えられるようになった。ネット前のショットを続け、長いラリーをしたらどこかでやられるかもしれないという意識が相手にはある。それで相手は(ポイントを)決めにくる。最近、その決めにくるショットを拾えているので、そこが大きい」

――現在、強豪選手との試合はほとんどストレート勝ち。今後、ファイナルゲームになるなど強い相手に対してプレッシャーや焦りを感じたとき、打ち勝てるか。

「今はたぶん自分が(チャレンジャーとして)向かって戦えているので、あまりプレッシャーを感じずに試合ができている。次、自分が迎え撃つ側になったときはもっと力も入るだろうし、緊張すると思う。いつも通りのプレーもできなくなる。ファイナルゲームになると思う。そうなった場合にしっかり勝てるかというと、不安なところが多い」

――以前は筋力トレーニングや走り込みは好きではなかったと言っていた。それに向き合っているというが、覚悟ができているということか。

「一つ一つの練習を無駄にしたくないと思っている。考えながら取り組めている。代表合宿では山でのランニングで1位になったが、そんなことは今まではなかった」

――試合でこれだけ結果が出ると、フィジカルが本当に大事だとわかったのでは。

「本当に今回の大会も1試合1試合がきつかった。でもしっかり動けたら結果がついてくることもわかった。改めて、体の強さは大切だと思う」

「人としては本当にだめだった」

――違法賭博問題を受けて出場停止となった2年前から、試合に復帰するまでの1年間のことを今、自分の中でどう受け止めているのか。

「今考えると、あの時間はバドミントン以外のことを成長させてくれた時間だった」

――2年前の自分はどんな人間だったと思うか。

「ただ勝てばいい、と思っていた。他人への配慮が欠けていたし、人としては本当にだめだった」

――立ち止まって、当時のことを思い出して考えることはあるのか。

「あまり考えないようにしている。マイナスというか……。成長できたのはもちろんプラスだが、そのときの感情はネガティブだったので」

――でも、あの時期があったからここまで強くなってきたのでは。

「それはある。バドミントン以外で成長できたし、そういう部分が現在のプレーに影響している」

――これから7月には世界選手権、8月にはアジア大会と大きな試合が続く。今夏はどのように戦っていきたいか。

「連戦で(体力的に)大変になってくる。1試合1試合の体力だけじゃなくて、1週間で最大5試合を行うので、5試合戦い抜く力をしっかりつけていきたい」

――20年東京五輪については、まだ考えられないと以前言っていた。自分の中で思いが変わってきている部分はあるか。

「今のところ、あまり五輪で金メダルというのは考えていない。目の前の1試合1試合を、感謝の気持ちだけは忘れないように戦っていきたい」

(聞き手は堀部遥)

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