金正恩氏も応戦 ロ外相との会談すぐ公表
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長もトランプ米大統領らのデジタル外交に応戦するようにロシアのラブロフ外相と会談の模様をすぐに公表した。非核化を巡る6カ国協議の枠組みのうち日本を除く米中韓ロ各国とは外相以上のレベルで対話を実現した。
1日の朝鮮中央通信によると、金正恩氏は5月31日にロシアのラブロフ外相と会談した際「新しい方法で各自の利害に沿った解決法を探って、段階的に解決していくことを希望する」と述べた。ロシアも段階的非核化の方針を支持する立場だ。
トランプ氏が金正恩氏との会談中止をいったん表明したのは、金正恩氏が中国にすがったのが一因とされた。今回はロシアを盾に非核化の駆け引きを演じようとしている。トランプ氏が金正恩氏のこうした姿勢を不快に思う可能性がある。
「新しい方法」「各自の利害に沿った解決法」。金正恩氏の発言からは非核化について後ろ向きな本音がうかがえる。非核化への意思を示してトランプ氏との会談を求めつつも、非核化への条件をつけて時間稼ぎする戦略は明白だ。
「完全な非核化」で歩調をそろえる日米、北朝鮮寄りが目立つ韓国、北朝鮮の後ろ盾となる中ロという関係国の構図が鮮明になりつつある。日米両政府内には米朝首脳会談は時期尚早との声も根強い。