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「オールスター」のサッカー日本に勝算は見えぬ

サッカージャーナリスト 大住良之

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5月31日、サッカー日本代表の西野朗監督はワールドカップに出場する23人のメンバーを発表した。MF本田圭佑、香川真司、FW岡崎慎司ら過去に実績のある選手を選ぶ一方、前日のガーナ戦に招集された27人のメンバーのうち、けがで辞退したMF青山敏弘以外にも、三竿健斗、井手口陽介、FW浅野拓磨の若手3人を「選外」とした。23人の平均年齢は28.3歳。今回で出場6回となったワールドカップ日本代表で最も"高齢"となった。

もちろん、年齢自体は問題ではない。世界の多くが「H組最下位候補」とみている日本がワールドカップで勝つ(1次リーグ2位以内に入って上位に進出する)には「このメンバーで」と明確に見えるものなら、年齢などに意味はない。

過去の実績やパフォーマンスから?

だが私には今回の23人はただの「オールスター」にしかみえない。「過去」の実績やパフォーマンスから、日本のベストな23人を選んだようにしかみえないのだ。

私は、西野監督が「こういう試合をしたいから、こういう大会にしたいから、こういう選手が必要」とピックアップするのだと思っていた。しかし西野監督はまずベストな23人を選び、その顔ぶれからどういう戦いをするかを考えるようだ。

「代表チームというのは、ある程度自分が理想とするやりたいサッカーに選手を当てはめていく。1996年のアトランタ五輪のときにはそうした」

4月12日の就任記者会見時、西野監督はそう語った。しかしガーナ戦に向けた27人のメンバーを発表した5月18日の時点では、「まだ(6月19日のワールドカップ初戦の)コロンビア戦をどういう試合にするか、イメージが描けていない」と話した。

ワールドカップの戦いに対する明確なビジョンがないままに5月30日にガーナと対戦し、その時点でもビジョンを持たないまま最終的な23人のメンバーを選んだのは、下記のガーナ戦後の西野監督の言葉で明白だ。

「これからこの形(3バック)で戦うというわけではない。これまで(日本代表では)トライしたことがなかったので、対応力をつけるためにやってみた」

就任時の話とは裏腹に、まず実績のある選手がワールドカップでプレーできるコンディションにできるかどうかをチェックし、できそうだと予想(あくまで予想=期待)できるなら選び、そのうえで「絵を描く」という。まさに「オールスター」ではないか。

バヒド・ハリルホジッチ前監督はもう過去の話だが、彼にはワールドカップでやりたいサッカー、こうプレーしなければ勝利への道は開けないというサッカーが明確にあり、そうしたプレーを求め続けてきた。そのサッカーを実行できるコンディションでなければ、本田でも香川でも迷うことなく外し、実行できると判断すれば年齢や経験に関係なく使った。

西野監督は就任時に「日本のよさを生かしたサッカー」を語ったが、それがこれほどまでにビジョンに欠けた「オールスター」になるとは、想像もできなかった。

ガーナ戦は3月にベルギーで行った2試合(マリ戦、ウクライナ戦)と比較すると、選手たちの意欲ははるかに勝っていた。ワールドカップ2カ月前でのハリルホジッチ監督解任、西野監督就任という非常事態を経て、そしてワールドカップが目前に迫り、選手たちに「やらなければならない」という気持ちがみなぎってきたのは、十分感じられた。

しかし守備は不安だらけで、攻撃は形にならなかった。

守備では、やってはいけない自陣ゴール前でのファウル、まずい壁のつくり方で、FKから簡単に失点した。ワールドカップで8分に失点してしまったら、ゲームプランも何もなくなる。

右サイドでプレーしたMF原口元気は、攻撃面では動き出しのタイミングがよく、相手DFラインの裏をつく動きもしていた。だが、守備面では開始わずか10秒であっさりと裏を取られるなど、ポジショニングができていなかった。3バックの中央でプレーした長谷部もスピードのなさを露呈し、それが2失点目のPKの原因となった。

「得点が生まれなかったことがいちばん悔しい」と、西野監督は31日の選手発表会見でガーナ戦を振り返った。記録された日本のシュート数は14本。しかし、しっかりとしたゴールチャンスは数えるほどだった。「オールスター」の寄せ集めだから、最後の突破のところでイメージの共有やあうんの呼吸といったものがなく、スピードの変化(急激なスピードアップ)ができなかった。ペナルティーエリア内でシュートチャンスができても、相手DFにしっかりと体を寄せられていた。

初戦のコロンビア戦まで3週間たらず。攻守両面の課題をクリアする時間が十分あるとはいえない。攻撃面でコンビネーションを高めるには、絶望的なまでに時間が足りない。

チームマネジメントに大きな不安

「オールスター」であることの問題とともに、大きな不安はチームマネジメントだ。

日本代表はガーナ戦の翌朝にいったん解散し、6月2日に成田から欧州に向け飛び立つ。ここからはオーストリア合宿、スイス、パラグアイとの親善試合を経てワールドカップ開幕の前日、13日にロシアに移動し、カザンの合宿所に入る。19日にコロンビア戦(サランスク)、24日にセネガル戦(エカテリンブルク)、そして28日にポーランド戦(ボルゴグラード)。少なくとも1カ月間の合宿生活となる。

そうしたなかで最も大事なのはチームの雰囲気だ。疲労がたまっているとき、負けたとき、試合に出られないことが続くとき……。選手たちにはストレスがたまる。そうした苦しいときにチーム全員が沈み込んでしまったら、そこから反発する力は生まれない。特に試合に出ていない選手がつくり出す雰囲気は、とても大事だ。

2002年大会では中山雅史、秋田豊両氏が全く試合に出られないなか、どんなときにもチームを明るく、前向きに保った。10年大会では川口能活が重要な働きをした。

全員がスターの「オールスター」チームでは、誰がそうした役割をこなすのだろうか。このあたりの配慮が、西野監督にどれだけあっただろうか。

「第3GK川口能活」。10年ワールドカップのメンバー発表の席上、岡田武史監督は故意にそう表現した。この当時、日本代表の見通しは今回と同様、決して明るくなかったが、岡田監督のこの言葉を聞いて、私は一挙に岡田監督が選んだ23人の「見え方」が変わったように感じた。そして、見通しが立たないなかでも、何か起こるのではないかと期待が生まれるのを感じた。

残念ながら今回の「オールスター」の発表には、そうした期待すら持てなかった。すべてがうまく運んで勝つことを、私も望んでいる。しかし現時点では、そんなふうに楽観的にはなれない。「勝算」どころか、その期待も全く見えてこない。

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