東京五輪チケット、小中高生向けは低価格で
一般向け、開会式は最高28万円超
2020年東京五輪・パラリンピックのチケット販売戦略の大枠が30日、大会組織委員会の有識者会議で決まった。一般チケットの価格は開会式で最高額を28万円超とした。若い世代の観戦を促すため、小中高校生向けの低価格チケットを100万枚以上準備する方向となった。価格は1000円台も含め調整する。
7月の国際オリンピック委員会(IOC)理事会で、チケット価格の承認を目指す。一般販売開始は19年春を想定している。30日の有識者会議では開会式と一般競技、閉会式ごとに最高価格と最低価格を内定。IOCの承認を経て正式に公表される見通しだ。
有識者会議では、一般チケットに加えて子供向け価格や高付加価値の企画チケットを検討。「学校連携観戦プログラム」として、小中高校生向けに、販売枚数全体の約10分の1に当たる100万以上を用意する一方、富裕層向けなどに飲食や土産を伴う高価格帯のチケットも導入することでまとまった。開催年にちなんで2020円のチケットを売り出すことも検討。詳細は次回会合で協議する。
組織委はチケット販売戦略を検討するため、大学教授やプロ野球の球団会長らでつくる有識者会議を設置。これまでの2回の有識者会議で、成功事例とされる12年ロンドン五輪を参考に、より幅広い価格設定とする方向でまとまった。
ロンドン大会の一般チケットは開会式で最高2012ポンド(昨年2月時点で約28万9千円)、競技の予選などで最低20ポンド(同約2800円)。過去の大会でも100倍を超す価格差はさらに広がることになる。
チケットの売り上げは大会収入の大きな柱の一つとなっている。組織委の予算計画では、予算6千億円のうち15%近い820億円を計上。国内スポンサーやIOCの負担金に次ぐ主要な収入源と見込んでいる。
課題はチケットの売れ行きだ。立候補時の試算は五輪とパラリンピックでチケット計1010万枚を販売する計画。一般的なプロ野球1球団のホームゲーム4~5年分に相当する膨大な数となる。五輪に限ると、東京五輪の約770万枚は過去9大会で最高だったロンドンの約820万枚に次ぐ規模。組織委担当者からは「チャレンジングな数字」との声も漏れる。
販売後の課題も横たわる。直近のリオ大会や18年平昌冬季五輪では、完売したはずの人気種目などで空席が目立ったことが問題視された。東京大会では対策として、組織委が公式サイト上でチケットを購入希望者に定価で譲ることができる仕組みなどを検討している。