諫早干拓訴訟、和解協議打ち切り 福岡高裁、7月判決
漁業者側に不利な判決内容も
国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門を巡る訴訟の和解協議が28日、福岡高裁(西井和徒裁判長)であった。開門派の漁業者側弁護団は、開門せず国の基金などで解決を図るとした和解勧告を拒んで欠席し、高裁は次回期日を指定しなかった。協議は事実上打ち切られ、7月30日に判決が言い渡される。
漁業者側の馬奈木昭雄弁護団長は福岡県久留米市で記者会見し「今回の和解協議は不当極まりない。和解が成立しなかった責任は国と、国を後押しした裁判所にある」と指摘。国の基金案については「実現不可能な案」と改めて強調した。
開門を巡っては、福岡高裁が国に開門を命じた判決が2010年に確定したが、13年に長崎地裁が開門差し止めを命じる判断を下し、相反する司法判断が並立している。
国側は今回の訴訟で開門を強制しないよう求め、開門しない代わりに漁業者側に制裁金を支払う強制執行の停止を求めている。漁業者側によると、7月の判決は支払いの停止など漁業者側に不利な内容になる可能性があるという。
国側の農林水産省の担当者は協議後の記者会見で「高裁が和解の方向性を示し、佐賀県などの漁業団体にも賛同をいただいた中で和解できないことは残念」と話し、状況が好転すれば改めて協議を行うよう高裁に求めていく方針を示した。
高裁は和解を模索し計4回協議を実施。非開門を前提とした和解案も提示したが、反発した漁業者側は2回目以降の協議に参加していなかった。