ミャンマー計画・財務相にデロイト出身者
経済改革の推進を急ぐ
【ヤンゴン=新田裕一】ミャンマーのウィン・ミン大統領は28日、汚職疑惑を受けて辞任した計画・財務相の後任に、会計事務所デロイト・ミャンマーのトップを務めるソー・ウィン氏(79)を指名した。国際経験が豊富で、金融分野にも明るい同氏を起用し、現在の国民民主連盟(NLD)政権で停滞する経済改革の立て直しを目指す。
計画・財務省は財政管理のほか、経済政策や投資誘致なども所管する重要な官庁だ。前任のチョー・ウィン氏は、政府の汚職防止委員会が捜査に乗り出したことを受け、25日に辞任した。地元経済界では、政府の経済改革の遅れについても同氏の「能力不足」を指摘する声が大勢だった。
ソー・ウィン氏は連邦議会での資格審査の手続きを経て、計画・財務相に正式就任する。外交関係者の一人は同氏について「高齢だがしっかりしており、司令塔として機能すれば(経済)改革が前進する」と評価した。
ソー・ウィン氏は、NLDの経済政策シンクタンク理事や政府の経済委員会なども務めている。国営銀行で約30年間、国際業務などに従事した後、自身の会計事務所を立ち上げた。その後デロイトと業務提携した。
ミャンマーは2011年の民政移管後、テイン・セイン前政権下で経済の近代化を進めた。だが16年にアウン・サン・スー・チー国家顧問率いる現政権が発足した後は、改革のペースが鈍化。世界銀行は17日に公表した報告書で、イスラム系少数民族ロヒンギャを巡る問題に加え、改革の遅れが経済の下振れリスクになると指摘していた。