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アマゾンgoより手軽にGO 無人コンビニ即出店

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流通業界が人手不足と労務コストの上昇に直面する中、スタートアップの600(ろっぴゃく、東京・渋谷)が無人のミニ・コンビニエンスストア事業を立ち上げた。米アマゾン・ドット・コムの「amazon go」などとは方向性が異なり、機能を絞り込んだ軽装備システムで店員ゼロを実現しようとする試みだ。日本の買い物に変化を起こせるか。

RFIDで商品識別

600の久保渓社長(32)が「財布からお金を取り出さなくても自動で清算が終わる」と話すシステムは、コンビニ店内で見かける冷蔵ショーケースを3分の1程度に小ぶりにしたボックスだ。弁当やパン、カップ麺、ヨーグルト、お菓子、お茶や清涼飲料など数十種類の商品が詰まっているが、ガラスの扉越しに見える。

利用者はまず扉の横に付けられたタブレット(多機能携帯端末)型の専用端末へクレジットカードを通す。すると扉のカギが開き、あとは好きな物を取り出すだけ。料金は自動的にカード払いとなる。買い物にかかる時間は3秒ほどだ。

カギとなるのは無線識別機能を持つICタグ(RFID)だ。縦1センチメートル×横4センチメートル、1枚あたり7円程度のRFIDが商品にシールのように貼り付けられており、利用者が商品を取り出すと、ボックスの棚の上下に取り付けられたアンテナが即座に反応し、タブレットで集計が始まる。

タブレットはネットとつながっている。クラウド上に商品情報や値段が登録されており、利用者は意識はしないが、実際には一般的な電子商取引(EC)のサイトと同様の仕組みでカード決済したことになる。ICカードをタッチしたり、硬貨を出し入れしたりする必要はない。

ボックスを置くだけで開店する即席の無人コンビニは初期費用がゼロで、月額利用料が5万円。サイバーエージェントの子会社やネットショップを作成するBASE(東京・渋谷)など都内数カ所で試験運用が始まっており、年内には100カ所へ増やす計画だ。

商品の供給は当面は久保社長を含む600の社員が手がける。規模が大きくなれば流通業者への委託や連携もあり得る。粗削りのサービスでも注目度が高いのは、現状のコンビニや自動販売機ではすくい取れない需要があるからだ。

例えば、社員食堂の営業時間を延ばしたいが、調理スタッフが集まらない。入院中の患者がちょっとした買い物をする病院内のコンビニは、アルバイト不足で運営が難しくなってきた。高層マンションの共有スペースを充実させたいが、有人店舗を設置するほどの販売量は見込めない――。

人手不足に即応できるか

店員ゼロの流通モデルは、米アマゾンが1月にシアトルに開設した無人コンビニ「amazon go」が注目を集める。カメラやセンサーによる商品識別、スマートフォン(スマホ)アプリによるキャッシュレス決済など、フルスペックの店舗は、最新技術の実験場としての側面が強い。

ビッグデータと人工知能(AI)を活用した流通革命を見据えるアマゾンに対し、日本の流通業界がすぐに必要としているのは人手不足への処方箋だ。店員ゼロや無人レジを実現できなければ、売上規模やエリアによっては、閉鎖を余儀なくされる店舗が出てくる可能性すらある。

大手企業の危機感は強く、コンビニではローソンがスマホを活用した無人レジの実験に取り組んでいる。JR東日本は17年11月、システム開発のサインポストと組み、JR大宮駅(さいたま市)でSuicaで決済できる無人コンビニを期間限定で試験運用した。

600が狙うのはオフィスビルや病院など、大手の商圏のふるいからこぼれそうな「半径50メートルの小さな世界」(久保氏)だ。だからこそ、軽装で素早く動く。創業は2017年秋。実績は乏しいが、久保社長はLINEの決済システム構築に携わった名うてのシリアルアントレプレナー(連続起業家)だ。

久保氏の1度目の起業は米国留学中の19歳の時で、学費を稼ぐため高速バス事業を立ち上げた。2度目は大学卒業後の10年、クラウドビジネスの会社を作った。ただ、この時は「ユーザーがブラジルなどに広がったものの、課金モデルを作れずに失敗してしまった」という。

3度目は12年、日本へ帰国し金融とIT(情報技術)を融合したフィンテック企業のウェブペイ・ホールディングスを立ち上げた。顧客がシステムを組み込むと、クレジットカード決済が自社のサイトやアプリ内で即座にできる仕組みを展開し、軌道に乗せた。

順調に成長していた15年、LINEの舛田淳取締役から「一緒にやらないか」と声をかけられた。悩んだ末、LINEへの事業売却を決断し、ノウハウを「LINEペイ」へと引き継いだ。

久保氏が事業責任者として関わったLINEペイは、加盟店では3000万店を超え、10~20代を中心に利用者が拡大、18年3月末時点で登録者数は約3000万人を突破した。「自分の目の前で現金の支払いを知らない『キャッシュレスネイティブ』が育っていった」と振り返る。

LINEを飛び出したのは「自分は起業家としてやっていく」との思いからだ。妊娠中の妻が「マンションのフロアに、簡単な食べ物や飲料が気軽に購入できる場が整っていればいいのに」と漏らしたことがヒントとなり、4度目の挑戦の場として600の起業を決めたという。

社名の数字には、一般的な小型コンビニが扱う商品数をショーケースの中に実現するという目標が込められている。設置場所が広がれば、オフィス向けの売れ筋商品を分析するといったマーケティングのインフラとして活用する第2ステージも見えてくる。ただ、無人店舗を模索する動きは世界の流通業の潮流になりつつある。いずれくる激しい競争に備え日本で足場を築けるか。久保氏の力量が問われる。  (大西綾)

[日経産業新聞2018年5月22日付]

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