ラグビー関西学生代表、最大の収穫とは…
NZと対戦、実力差を体感
ラグビーの関西学生代表が3日、ニュージーランド(NZ)学生代表と対戦した。33-47で敗れたものの、今や春の風物詩となりつつある強国との手合わせが、着実に関西大学ラグビー界の底上げにつながっていることを改めて示した。
京都・西京極陸上競技場での一戦は立ち上がりからNZ学生代表がペースを握った。前半13分までに奪った2つのトライはラインアウトが起点。23分以降の3トライは関西学生代表のラインアウトの乱れに乗じて挙げたもので、40-7と一方的なスコアで折り返した。
ラインアウトが散々だった関西学生代表が活路を見いだしたのはスクラム。FWの平均体重が104.8キロと相手より約1.6キロ軽い中でもやすやすと押せたのは、「組んですぐにボールを出す」(ニコラス・ウェスラヒコ主将)習慣のNZがさほどスクラム戦にこだわらなかったことが追い風になった。
NZが反則すればスクラムを選択して優位に立ち、後半15分に追撃のトライ。ダイナミックな展開攻撃も見せ、後半に限れば26-7と相手を圧倒した。前半のラインアウトの失態がなければ、と思わせる敗北だった。
ラインアウトは「合わせる時間が2回しかなかった。ボールのタイミングと(ジャンパーを周りの選手が)上げるタイミングが合っていなかった」と島根一磨主将(天理大)。ただし、主たる敗因はセットプレーの不出来でなく根本的な要素に求める。「奪ったボールへの反応とブレイクダウン(ボール争奪局面)の激しさに差があった」。その実力差を体感できたことが最大の収穫だった。
関西ラグビー協会は近年、関西学生代表の活動を強化している。昨春は初のNZ遠征を実施し、オタゴ大やカンタベリー大に勝って3勝1敗の成績を収めた。今回、NZチームを招待するにあたってはスポンサーから約500万円の資金を集め、「ツアーの運営は黒字になると思う」と関西協会の坂田好弘会長。試合前日の2日にはNZ学生代表がラグビーにゆかりのある京都・下鴨神社を訪れ、先住民マオリの民族舞踊「ハカ(ウオークライ)」を披露。参拝者の注目を集めた。
本場のチームと定期的に対戦できることもあって、関西の強豪高校の選手が地元の大学に進む流れが拡大。今回、関西チームを率いた天理大の小松節夫監督は「関西学生代表のステータスは確実に上がっている。一致団結して関東をやっつけようぜという空気も出てくるのかな」と手応えを感じている。
(合六謙二)