生産性向上特措法が成立 先端技術導入へ規制凍結
革新的技術などの実証実験をしやすくする「サンドボックス」制度を創設する「生産性向上特別措置法」が16日、参院本会議で可決、成立した。2020年度までの3年間限定で、一定の条件を満たせば現在の規制を一部凍結する。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」や人工知能(AI)などを使った新技術の実験を促し、成長戦略に役立てる。
今夏にも内閣官房に窓口をつくり、企業から規制凍結の提案を受け付ける。その後、専門家を集めた評価委員会の意見を聞き、規制の所管省庁が企業の計画を認定。早ければ年内にも同法に基づく案件が決まる予定だ。3年間の時限法だが、実験で問題がなければ、規制の見直しも検討する。
サンドボックス制度による規制の凍結では、例えば電柱に取り付けたカメラの映像を活用。子どもや高齢者が持つ発信器と結びつけ、家族がリアルタイムで見守るサービスを提供することが考えられる。法案には中小企業に先端設備の導入を促すため、固定資産税の減免も盛り込んだ。
生産性向上特措法は、企業の提案を期間限定で実現する「計画型」。これとは別に、国が用意した規制凍結項目を地域限定で認める「特区型」の導入に向けた国家戦略特区法の改正案も今国会で審議中だ。
国家戦略特区は地域を限定して規制緩和を認める制度。特区型のサンドボックスは自動運転、ドローン(小型無人機)、電波利用の3分野に関する実証実験を、全国10カ所の特区内で可能にする。安倍政権は生産性革命を重点政策に掲げており、両法案の成立で成長戦略をてこ入れする。