米利上げ路線「支持する」 次期FRB副議長が議会証言
【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)の副議長に指名されたコロンビア大教授のリチャード・クラリダ氏は15日、米上院銀行委員会での指名公聴会で、現体制の利上げ路線を支持すると表明した。トランプ政権が利上げ路線に干渉するとの懸念には「あり得ない」と否定し、金融政策の独立性が「不可欠だ」と強調した。
理事に指名されたカンザス州銀行監督当局のミシェル・ボウマン氏も、同じ公聴会で証言した。FRBは正副議長を含めて理事ポストが7つあるが、4つが空席という異常事態が続いている。クラリダ氏、ボウマン氏の就任が上院で承認されれば、パウエル議長らトランプ大統領が指名した理事が執行部の大半を占めることになる。
公聴会では議員から利上げ路線を支持するかとと問われ、クラリダ氏は「その通りだ」と断言した。2008年の金融危機はFRBの低金利政策の解除が遅れたためだと指摘され、クラリダ氏も「金融政策がその一因となった」と認めた。危機後の量的緩和政策については「回を重ねるほど恩恵は薄れ、コストがかさんでいく」とやや否定的な見方を示した。
質疑応答では米政権とのFRBの距離感が焦点となり、クラリダ氏は「トランプ氏らとの会談を通じてFRBの独立性に疑問を持つことはなかった」と強調した。利上げが続けば市中金利の上昇で景気を下押しするリスクがある。不動産業で名を成したトランプ氏は自らを「低金利人間」と称しており、米議会には政権がFRBの金融政策に干渉するとの懸念があった。
クラリダ氏は金融政策を専門とするエコノミストで、法律専門家だったパウエル議長の補佐役として期待される。ボウマン氏は地方銀行出身で、公聴会では中小金融機関の金融規制緩和に意欲をみせた。
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