金融政策「バランス重視」 FRB次期副議長が表明へ
【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)の副議長に指名されたコロンビア大教授のリチャード・クラリダ氏は、米上院銀行委員会で15日に開く指名公聴会で「雇用と物価の目標達成に向け、バランスのとれた政策運営を支援する」と表明する。クラリダ氏は金融政策を専門とするエコノミストで、現体制の緩やかな利上げ路線を支持するとみられる。
クラリダ氏は14日、公聴会を前に冒頭証言の準備書面を公表した。書面では「雇用の最大化と物価の安定という2つの使命完全に支持する」などと主張したが、利上げペースなど政策の具体論に触れるのは避けた。FRBが所管する金融規制などを通じて「金融システムの健全性を保持する」とも強調した。15日の公聴会では議員らとの質疑応答も予定されている。
上院が同氏の就任を承認すれば、2017年秋に退任したフィッシャー前副議長の後任となる。2月に就任したパウエル議長はもともと法律専門家で、クラリダ氏には新体制の理論的支柱としての役割が求められる。市場はFRBの利上げペースに注視しており、具体的な政策経路にどこまで言及するかが焦点だ。
15日にはFRB理事に指名されたカンザス州銀行監督当局のミシェル・ボウマン氏も同じ公聴会で証言する。同氏は地方銀行出身で、中小金融機関の規制緩和を主張している。14日に公表した準備書面では、クラリダ氏と同じく雇用と物価という2つの政策目標の達成に尽力すると主張した。