米プラネットウェイ、三井不など9社と新事業創出
データ交換システムを提供する米プラネットウェイコーポレーション(カリフォルニア州、平尾憲映最高経営責任者=CEO)は9日、三井不動産や東京海上日動火災保険など大手9社と連携して、不動産、金融など4分野で新サービスを開発する事業を始めると発表した。電子行政の先進国とされるエストニアの最新技術を応用し、個人情報の安全性を確保しながら、企業や業界の枠を超えたデータ活用を進める。
同日発表したオープンイノベーションプラットフォーム「プラネットエコ」はアクセンチュア、凸版印刷、大日本印刷、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、日本ユニシスも参加する。医療・ヘルスケア、スマートシティー、フィンテック、自動車の4分野を中心に共通のデータ連携基盤を活用した新サービス開発を進める。平尾CEOは「個人が自分の意思でデータを企業に公開し、それを受けて企業が新サービスを作るという流れを実施したい」と意気込む。
プラネットウェイが開発したデータ連携基盤はインターネットを介して利用でき、各企業の既存システムやデータベースに大きな変更を加えることなく、他企業とのデータ連携を実現できるのが特徴だ。個人が自分のどのデータを誰に開示するかをスマートフォン上で簡単に許諾できる個人認証の基盤も開発しており、電子認証やタイムスタンプなどで本人確認とデータの安全性を確保する。これらの技術を利用することで「競合他社や業界の壁を超えてデータを活用した新サービスを開発できる」(平尾CEO)。
プラネットウェイは2017年、東京海上日動と個人の医療データを活用することで保険金の手続きをデジタル化し、1カ月以上かかっていた支払いまでの期間を数十分に短縮する実証事業に成功している。今後は今回連携を発表した9社以外にも幅広くパートナー企業を募る。併せてサイバー攻撃に対する防御を行う「ホワイトハッカー」と呼ばれるセキュリティー人材の育成でも連携していく考え。
プラネットウェイはソフトバンクグループ出身の平尾CEOが15年7月に設立したスタートアップ。本社は米国だが、日本とエストニアに事業拠点を持つ。従業員数は26人で、技術者の95%がエストニア人だ。17年にはソフトバンクグループの孫正義社長の実弟である孫泰蔵氏が率いる投資会社ミスルトウ(東京・港)などから約3億円の出資を受けている。