漂流するASEAN 封印された改革のツケ
アジア・エディター 高橋徹
予想された通り、そこには何とも煮え切らない文言が並んでいた。
4月28日、東南アジア諸国連合(ASEAN)がシンガポールでの首脳会議で採択した議長声明である。
中国が軍事拠点化を進める南シナ海の問題は、その中国を名指しせずに「一部から表明された懸念に留意する」。ミャンマーのイスラム系少数民族の難民化問題でも「人道的な救済策を支援する」としただけで、ミャンマー政府の責任に触れず、同政府が認めていな...
経済が成長し目まぐるしく変化するアジアの国々。米国と中国の超大国同士の貿易摩擦が激しくなる中、その狭間に位置するアジアにも余波が及んできた。現地の政治・経済の今を切り取る。