アルゼンチン、緊急利上げで政策金利40%に
【サンパウロ=外山尚之】アルゼンチンの中央銀行は4日、政策金利を6.75%引き上げ、年40%にすると発表した。この8日間で3度目となる利上げで、金利の引き上げ幅は計12.75%に達する。米長期金利の上昇で新興国からの資本流出が始まる中、アルゼンチンの通貨ペソはドルに対して急落しており、通貨防衛のために緊急利上げを余儀なくされた。
中銀は4月27日の3%の利上げに続き、5月3日にも緊急措置として再度3%の利上げを実施したばかりだった。米長期金利が一時3%台に上昇する中、世界的に新興国通貨は対ドルで売り込まれており、財政基盤が脆弱なアルゼンチンは年初から約2割下落していた。アルゼンチン中銀は為替介入で対抗していたが、効果は乏しく、緊急措置として大幅な利上げに踏み切った。
歴史的にアルゼンチン国民はインフレに敏感なため、ペソが下落すると資産をドルに退避させる動きが発生し、さらなる通貨安を引き起こすとされる。
今回の利上げを受け、4日の外国為替市場では1ドル=21ペソ台と、利上げ前の22ペソ台から小反発している。
2015年に左派政権からの政権交代で誕生したマクリ政権はインフレ対策を主要課題に掲げていたが、足元の通貨安は逆風となる。マクリ政権の下で海外からの投資や貿易環境が改善していただけに、通貨安とインフレはアルゼンチン経済にとっても新たな試練となりそうだ。