フェイスブックのデータ収集、利用者が制限可能に
【シリコンバレー=白石武志】米フェイスブックは1日、同社によるネット閲覧履歴などの収集を利用者が自ら制限できる機能を数カ月内に追加すると発表した。3月に発覚した個人情報の不正流用問題を発端に、同社ではプライバシーの扱い方を見直す取り組みを進めている。データ管理の権限を利用者に持たせ、欧州で強化される個人情報保護規制にも対応する狙いもある。
同社がサンノゼ市内で開いた開発者向けイベントに登壇したマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が明らかにした。開発中の「クリアヒストリー」と呼ぶ新機能を使えば、利用者はブラウザーやアプリの利用履歴などを簡単な操作でアカウント上から消したり、フェイスブックによる一部のデータ収集を止めたりできるようになるという。
ネット上の訪問記録などを消去することで利用者の好みなどに関する情報も消えるため、ザッカーバーグ氏は「ユーザー体験の一部は悪くなる」とも指摘した。フェイスブックを利用する広告主にとっても個人情報に基づくマーケティングの精度が落ちる恐れがあるが、プライバシー擁護派の求めに応じた。
フェイスブック利用者8700万人分の個人情報が不正流用された問題は、ザッカーバーグ氏が2日間にわたって米議会に証言を求められる事態に発展した。同社は個人情報保護の取り組みのほか、ネット上の監視要員を18年末までに2万人規模に増やすなどの偽ニュース対策も進めている。
欧州では5月から企業による個人情報の利用を制限する「一般データ保護規制(GDPR)」が施行され、利用者が企業にデータの提供を拒むことも可能になる。米ツイッターはGDPRの施行にあわせ、個人情報がどのように使われているのかも開示するなど、透明性を高める方針を示している。