南北融和へ始動 拡声器撤去や時差解消
【ソウル=鈴木壮太郎】27日の南北首脳会談で「板門店宣言」に署名した韓国と北朝鮮が融和に向けて始動した。北朝鮮は30日、標準時間を韓国にそろえることを決定。韓国も同日、軍事境界線にある宣伝放送用の拡声器の撤去を1日から始めると発表した。南北そろって関係改善をアピールすることで、6月初旬までに予定される米朝首脳会談の地ならしを進める考えだ。
北朝鮮の国会に相当する最高人民会議の常任委員会が30日、北朝鮮の標準時間である「平壌時間」を5日から30分早めて韓国と同じにする政令を採択した。朝鮮中央通信が伝えた。
南北の時差解消は金正恩(キム・ジョンウン)委員長が南北首脳会談で韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領に提案。わずか3日後に機関決定した。朝鮮中央通信によると、金正恩氏は「民族の和解、団結の初の実行措置」と指示した。
北朝鮮と韓国には時差はなく日本と同じだったが、2015年に「日帝時代の残滓(ざんし)清算」を理由に30分遅らせた。韓国も李承晩(イ・スンマン)政権が1954年に30分遅らせたことがあるが、朴正熙(パク・チョンヒ)政権が61年、日本と同じ時間に戻した。
韓国国防省も同日、5月1日から拡声器の撤去を始めると発表した。板門店宣言で「拡声器放送やビラ散布をはじめとするあらゆる敵対行為の中止」が盛りこまれており、それを履行する。ただ、ビラ散布は保守系の市民団体が実施している。韓国政府は中止を求める方針だが、市民団体が強行する可能性がある。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。