スバル書き換え900台 検査データ不正で報告書
新車の検査で燃費や排ガスデータの書き換えが判明したSUBARU(スバル)は27日、社内調査の報告書を提出した。不正は少なくとも2012年12月から始まり、確認できただけで約900台で書き換えがあった。法令に定められた保安基準を逸脱した事例はなかった。同日、記者会見した吉永泰之社長は「企業風土に由来する問題と認識している」と述べた。
不正は群馬製作所の本工場(群馬県太田市)、矢島工場(同)で見つかった。新車の完成検査工程にある、一部の車を抜き出して燃費・排ガスを調べる現場で書き換えがあった。
不正が確実に行われていた期間は、2012年12月~2017年11月。測定の対象となった車は6939台、装置などにデータが保存されていたのは6530台だった。書き換えが行われたのは903台で、正しい測定値を基に計算し直しても、法令に定められた保安基準や社内の品質管理の基準は満たした。
データが残っていない12年11月以前も、書き換えが行われた可能性は高い。従業員から02年ごろに行われていたとの供述があり、報告書ではそれ以前も「可能性を否定できない」とした。
現場の検査員と、数人をとりまとめた班の班長が書き換えを行っていた。複数の班を統括する係長の指示や、報告を受けた例は無かったが、かつて実務をしていた人もおり、書き換えを認識していた可能性がある。
品質管理の基準への誤った理解から基準内の数値でも修正をかけていた。自らの技量不足を隠すためなど稚拙な理由もあった。スバルでは燃費・排ガス測定業務で新たに現場向けの業務マニュアルを策定したり、監査体制の再構築したりして再発防止に努める。
報告書では問題の根源を規範意識の欠如やコミュニケーション不足など「完成検査員問題と同様の問題に由来する」と指摘。「病巣は深い」と言い切った。
3月には吉永社長が6月に会長へ退く人事を発表。経営は新執行部に委ね、吉永社長は企業風土の改革に集中するとしている。
スバルのある幹部は「対消費者のビジネスは1つの過ちが致命傷になる。この緊張感が欠けていた」と自戒を込める。国内販売は3月まで5カ月続けて前年を割り込んだ。スバルが本当に変われるのか、消費者は冷徹に見極めようとしている。
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