NTT社長に沢田氏 東日本・井上氏、西日本は小林氏
NTTは持ち株会社の社長に沢田純副社長(62)を昇格させる人事を固めた。通信事業から国際的なデータやセキュリティー事業に軸足を移すなか、グローバル事業をけん引してきた沢田氏のもとで海外での成長を目指す。6月の株主総会後に正式に決める。
沢田氏は技術畑で、NTTコミュニケーションズの取締役や副社長を歴任。グローバル展開するNTTセキュリティの社長も兼務している。NTTグループはセキュリティーを含めたデータ関連事業を中核に、現在20%弱の海外売上高を25%まで増やす計画だ。
持ち株会社の鵜浦博夫社長(69)は2012年に就任し、国際的なIT(情報技術)企業への変身を目指してきた。道筋に一定のめどがついたとして沢田氏に託すことを決めた。鵜浦氏の処遇は今後詰める。
グループの地域会社の人事も固めた。NTT東日本社長は井上福造副社長(62)が昇格し、NTT西日本社長には持ち株会社の小林充佳常務(60)が就く。
3社は6年ぶりの人事刷新となる。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の普及に伴い、膨大なデータの管理やセキュリティーへの対応が欠かせない。新体制は同分野での新事業創出を目指す。
NTTの鵜浦博夫社長は、デジタル化を進める顧客企業に技術やサービスを提供し、「黒子」として共に成長する戦略を進めてきた。固定通信から移動通信に収益基盤が移るなか、東西地域会社はIoTを含めた法人向けのネット関連サービスで生き残りを図る。
NTT東日本社長に昇格する井上福造副社長はNTTコミュニケーションズなどを経験し、次世代技術にも明るい。NTT西日本社長に就く持ち株会社の小林充佳常務は技術企画部門長を務めている。持ち株会社の社長に就任する沢田純氏と歩調を合わせ、グループの総合力を武器にIoT時代の収益事業を育てる。
沢田 純氏(さわだ・じゅん)78年(昭53年)京大工卒、日本電信電話公社(現NTT)入社。08年NTTコミュニケーションズ取締役経営企画部長、12年同社副社長、14年NTT副社長。大阪府出身。
井上 福造氏(いのうえ・ふくぞう)80年(昭55年)東大法卒、日本電信電話公社(現NTT)入社。04年NTTコミュニケーションズ経営企画部担当部長、12年東日本電信電話取締役経営企画部長。14年常務取締役。兵庫県出身。
小林 充佳氏(こばやし・みつよし)82年(昭57年)慶大院修了、日本電信電話公社(現NTT)入社。06年西日本電信電話岡山支店長。12年NTTコムウェア取締役、14年から現職。岡山県出身。