河野氏、制裁緩和にクギ G7外相、拉致問題で協力
【トロント=甲原潤之介】カナダのトロントで開いた主要7カ国(G7)外相会合は22日(日本時間23日)の討議で、北朝鮮の非核化が実現するまで圧力を維持する方針を確認した。河野太郎外相は核実験の停止決定など北朝鮮の緊張緩和の動きに各国が翻弄されないよう、安易な制裁の緩和にクギを刺した。日本人拉致問題も人権問題と位置づけ米欧の関心をひき付けることに腐心した。
北朝鮮が21日に核実験の停止などを発表してからG7の外相が一堂に会するのは初めてとなった。河野氏は22日の討議後、記者団に「北朝鮮に関する認識はG7で完全に一致している」と最大限の圧力方針に変更がないことを強調した。討議で制裁緩和への言及があったかに関しても「まったくない」と否定した。
河野氏は北朝鮮の制裁逃れを防ぐ取り組みでも議論を主導。海上で船を横付けして積み荷を移し替える北朝鮮の「瀬取り」について各国の支援を要請した。北朝鮮の発表では核放棄や日本を射程に入れた中・短距離ミサイルへの言及はなく、脅威認識を変えないよう働きかける狙いがあった。
日本人拉致問題も各国に理解と協力を呼びかけた。米国にも北朝鮮による拘束者がいるほか、韓国も拉致被害を受けていることに言及し、同じ人権問題としての早期解決を訴えた。外務省によると、議長国のカナダのフリーランド外相は「カナダ人にも拘束されていた人がいた。本当にひどい話だ」と応じたという。
外相会合は23日(日本時間24日)、共同声明を発表して閉幕する。河野氏は23日朝(同23日夜)、米国務長官に就任予定のポンペオ中央情報局(CIA)長官の代わりに出席しているサリバン国務長官代行と会談した。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。