米金融当局、米ウェルズに罰金1000億円 不正営業で
【ニューヨーク=大塚節雄】米金融監督当局は20日、自動車や住宅向けのローンを巡る不正に絡み、米銀大手ウェルズ・ファーゴとの間で同行に罰金10億ドル(1000億円強)を科すことで合意したと発表した。ここ1年半で過去の不正営業が次々に明らかになっており、当局の厳しい調査を受けてきた。トランプ政権下での銀行に対する罰金では最大規模となる。
金融分野での消費者保護を担う米消費者金融保護局(CFPB)と、銀行を監督する米通貨監督庁(OCC)が発表した。ウェルズはそれぞれに5億ドルずつを支払う。
2016年、顧客に無断で口座を開くなどの大規模な不正営業が発覚し、その後も不祥事が相次いで明らかになった。今回は顧客が自動車ローンを組む際、保険に二重に加入させていた問題や、住宅ローンの金利固定期間の延長で手数料を不正に徴収していたことなどが罰金の対象となった。
ウェルズは合意を受け、13日に発表ずみの2018年1~3月期の決算を修正する。純利益は前年同期比6%増の59億4000万ドルとしていたが、罰金の支払いに伴って8億ドルの追加費用を計上する。1株利益は1.12ドルから0.96ドルに低下するという。
ティム・スローン最高経営責任者(CEO)は「我々がなすべきことはまだ多いが、今回の合意は規制当局と優先課題を共有していることを確かなものにする」との声明を出した。不祥事問題に一定のけじめをつけ、リスク管理の抜本的な強化をめざす考えだ。
だが、今回の罰金とは別に、米連邦準備理事会(FRB)からは資産規模の拡大を当分の間、禁じる厳しい措置を命じられている。経営立て直しの道は険しそうだ。