財務次官、改めてセクハラ疑惑を否定 信頼回復の道遠く
財務省の福田淳一事務次官の辞任表明から一夜明けた19日午前、福田次官は改めてセクハラ発言疑惑を否定した。未明にはテレビ朝日が、被害者を自社の女性社員であると発表。会話を録音し、週刊誌に提供したと認めた。食い違う主張、度重なる不祥事――。「官庁の中の官庁」が失った信頼を取り戻すまでの道は険しい。
福田次官の東京都内の自宅前には、19日早朝から20人以上の報道陣が集まり、前日夜に辞意を明らかにした財務省事務方トップが現れるのを待った。自宅前に黒塗りの迎えの車が着いたのは午前8時半ごろ。直後にスーツ姿の福田次官が姿を見せると、一斉にシャッター音が鳴った。
報道陣を前に、福田次官はセクハラ発言疑惑を「違っています」と、厳しい表情で繰り返し否定。同日未明にテレビ朝日がセクハラ疑惑の被害者を自社の社員だったと説明したことについて問われた際には「全体を見てくれれば(セクハラ疑惑に)該当しないと分かるはず。一部しか(音声を)とっていない」といら立った様子で主張した。
「だったら、なぜ辞めるのか」との質問には「こういう状況になっているので、仕事にならなくなっているから辞めます」と早口で答え、足早に車に乗り込んだ。
一方、東京・霞が関の財務省には早朝から職員が続々と出勤。学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書の改ざんや、改ざん問題に絡む佐川宣寿前国税庁長官の辞任など、次々と不祥事が発覚する事態に、職員らは一様に厳しい表情。問いかけに応じる職員はおらず、無言のまま庁内に姿を消した。
次官室がある庁舎2階には多くの報道陣が集まり、福田次官を待ったが、午前10時を過ぎても姿を見せることはなかった。午前9時すぎには麻生太郎財務相や太田充理財局長が現れたものの、発言は一切なかった。