イラク日報に「戦闘拡大」 陸自宿営地のサマワで
防衛省が公表
防衛省は16日、イラク復興支援特別措置法に基づき2004~06年に派遣された陸上自衛隊部隊の日報を公表した。陸自の活動は「非戦闘地域」に限定していたが、派遣された南部サマワの治安情勢について「戦闘が拡大」との記載があった。小野寺五典防衛相は防衛省内で記者団に「同法に基づいて活動していた」と述べ、法的な問題はないとの認識を示した。
防衛省が公開した日報は435日分で計1万4929ページ。04~06年の派遣期間の一部で、陸自研究本部(現・教育訓練研究本部)などで保管が判明した分を公表した。
日報にはイラク全土や陸自を派遣したサマワの治安状況、復興支援活動に従事した人員や活動報告が記されている。武器の保有状況や隊員の個人情報に関わる記述は黒塗りになっている。
「戦闘が拡大」との記載があったのは06年1月22日分。サマワで英軍のパトロールに反感を持った地元民兵が射撃し始めたことに端を発した、と記載され、悪化する治安情勢が報告されている。他にも複数「戦闘」との表現がある。
05年7月5日の日報では「サマワ宿営地付近にロケット弾着弾」「連続発生の可能性は否定できず」との報告があった。現地の自衛隊員に投石された状況や、陸自車列の走行中に近くで爆発があった事案も記されている。
03年7月に成立したイラク特措法により、政府は陸自隊員延べ約5500人をサマワに派遣した。隊員は医療指導や給水、学校など公共施設の整備に従事した。特措法は自衛隊の活動範囲を「現に戦闘行為が行われていない地域(非戦闘地域)」と規定していたが、当時も治安状況が国会で議論となっていた。