徳島新聞社、阿波おどりの振興基金創設を提案
米田社長会見「赤字には道義的責任はある」
徳島市で開く阿波おどり事業で4億円を超える累積赤字が発生している問題で、事業を徳島市観光協会と主催してきた徳島新聞社は12日、阿波おどりの振興に向けた基金の創設を徳島市に提案した。同社は基金の原資として3億円を寄付する。同日、記者会見した徳島新聞社の米田豊彦社長は「協会の債務に対する法的な責任は無いが、主催者の一員として道義的責任はある」と語った。
2017年5月末に阿波おどりの累積赤字問題が浮上して以降、徳島新聞社のトップが公の場で会見するのは初めて。米田氏は「将来の阿波おどりの安定的な運営や振興のため」と、基金創設を提案した理由を述べた。
3億円の寄付については「1回の阿波おどりの開催の運営費が約2億8000万円。これを基準にした」と説明。「阿波おどりで収益を上げている事業者にも基金に寄付をしてもらう機運につながる」と語った。一方、「これは(協会の)赤字解消のための原資ではない」と強調した。
今年夏の阿波おどりの運営では徳島市が中心になり新しい運営主体となる実行委員会を近く立ち上げる予定。徳島新聞社は当初案にはメンバーに入っていないが、米田氏は「徳島市からの正式な要請はまだない」と明かした上で、「我々は長年の運営でノウハウを持っている。要請があればどんな協力でもしたい」と語り、今後の運営参加に意欲をみせた。
徳島新聞社から提案書を受け取った徳島市の遠藤彰良市長は「阿波おどりの振興に関する貴重な提案をいただいた。阿波おどりの振興や市民の負担軽減のため寄付金の活用を十分に検討したい。また、同社の経験・知識を今後活用させていただくことを考えている」とコメントした。