安保理、シリア化学兵器調査を否決 ロシアが拒否権
【ニューヨーク=高橋里奈】国連安全保障理事会は10日、シリアの化学兵器使用疑惑を受け、独立調査機関を新設するための決議案を採決したが、ロシアが拒否権を行使して否決となった。米国が作成した決議案にアサド政権の後ろ盾であるロシアが反対した。安保理が再び機能不全を露呈させたことから、米国が軍事行動に踏み切る可能性が強まってきた。
安保理の15カ国のうち12カ国が賛成したが、ロシアとボリビアが反対、中国は棄権した。
シリア内戦での化学兵器使用を巡っては、国連と化学兵器禁止機関(OPCW)の共同調査機関が証拠や使用者を調べてきた。だがアサド政権も使ったと断定したことからロシアが2017年11月に任期延長決議案に拒否権を投じ、活動停止に追い込んだ。7日にダマスカス近郊でシリア軍が再び塩素ガスとみられる化学兵器を使った疑惑が浮上、国際社会からは独立した機関による公平な調査を求める声が高まっていた。