スズキ会長「ハンガリーは重要拠点」元首相と対談
日本経済新聞社は10日、メッジェシ元ハンガリー首相とスズキの鈴木修会長による講演会を開いた。メッジェシ元首相が「欧州統合」をテーマに基調講演したのち、スズキの鈴木修会長と対談した。鈴木会長は「ハンガリー生産を始めて26年。経営は健全で今後も安心してハンガリーに貢献する」と欧州の輸出拠点の重要性を強調した。
スズキは1992年、ハンガリーで日本の製造業として初の現地生産を決めた。対談で鈴木会長は社会主義政権から自由主義政権への移行期に投資をした経緯を説明。当時、政権幹部だったメッジェシ氏との間に信頼関係があったと明かした。
自動車の電動化もテーマとなった。鈴木会長は「環境対策では二酸化炭素(CO2)を減らすことが第一。電気自動車(EV)は生産や使用、廃棄の3段階を考えると、CO2をゼロにはしない」と指摘した。
基調講演でメッジェシ元首相はハンガリー経済が堅調であることや法人税率が9%と低いことなどを挙げ、投資の有効性を訴えた。一方で、世界では政治的なエゴイズムが散見されると指摘。貿易戦争を含め、「世界の政治は不安定要因が多すぎる」と話した。
ハンガリーでは8日投開票の議会選挙で与党が勝利し、オルバン首相の続投が確実になった。メッジェシ元首相は「67%の有権者が与党を選んだ。投資を呼び込む意味でも政治の安定はいいことだ」と指摘した。「ハンガリーは欧州連合(EU)を離脱するのか、しないのか」という参加者からの質問に対しては「EUの一員であり続ける。政府が下している間違いない決定だ」と応じた。
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