ハリル氏の電撃解任 国内ファンから不安の声も
サッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会開幕を約2カ月後に控えた9日、日本代表の指揮官交代が明らかになった。日本サッカー協会の田嶋幸三会長(60)は緊急記者会見で「状況を打破するために決断した。1%でも2%でも勝つ可能性を追い求めていきたい」と硬い表情で話した。
田嶋会長は解任理由として「選手とのコミュニケーション不足」と繰り返し「むざむざと見ていられなかった」と話した。7日にパリのホテルで解任を言い渡されたバヒド・ハリルホジッチ前監督(65)は「満足ではない。なんでこの時期なんだ」と不服さを隠さなかったという。
突然の代表監督の交代に国内のファンからは不安の声が上がった。
東京・原宿のスポーツ専門店を訪れた男性(43)は「代表メンバーがころころ代わっていた。選手とのコミュニケーションがとれていたのか疑問だった。解任するならもっと早くすべきだった」と話した。
代表の試合を観戦したことがある女性(35)は「せっかくW杯に導いた功労者なのに」と残念そう。「日本が一つでも多く勝てるよう後任の西野朗監督には頑張ってほしい」と語った。
神奈川県の男子大学生(21)は「今ごろ解任するなら、現体制のままW杯に臨んだほうがよかった」。箱根駅伝で4連覇した青山学院大を引き合いに出し「原晋監督も当初はチームを作るのに数年かかった。この時期に解任する理由はない」と疑問を呈した。
一方、熊本地震の被災地からはハリルホジッチ前監督の解任を惜しむ声も。前監督は旧ユーゴスラビア内戦で戦災に遭った経験があり、被災地にも足を運んだ。
「試合の時の厳しい表情と打って変わって被災者に向ける表情は柔和そのものだった」と話すのは益城病院(熊本県益城町)で障害者サポートに取り組む湯原徹さん(37)。
地震発生後の2016年5月、同町の知的障害者らのサッカーチームの練習場を訪問。100人超の患者や家族らを前に「ずっと心配していました。サッカーで皆さんを勇気づけていきたい」と語りかけたという。湯原さんは「感謝の気持ちを伝えたいと思っていただけに残念でなりません」と肩を落とした。