アサド政権、化学兵器で攻撃か、少なくとも21人死亡、シリア首都近郊で
【カイロ=飛田雅則】シリア人権監視団(英国)は8日、シリアの首都ダマスカス近郊にある反体制派拠点の東グータ地区に対する7日の空爆で、窒息などで死者が少なくとも21人に上ったことを明らかにした。同地区は反体制派の制圧を狙うアサド政権軍の攻撃を受けていた。アサド政権側は否定するが、7日の空爆で化学兵器の使用が疑われている。
国連安全保障理事会は緊急会合を9日に開く方向で調整に入った。
現地からの報道では診療所で、口から泡を出した状態で倒れた人々の姿が報じられている。窒息や目まいなどの症状から化学兵器の使用疑惑が広がる。アサド政権は7日、国営メディアを通じ、掃討作戦を妨害する偽情報だとして化学兵器の使用を否定した。
同地区はダマスカス近郊に残る数少ない拠点の一つだ。アサド政権は制圧をめざし攻撃を強化し、2月から死者は1600人を超える。そのためアサド政権は立てこもる反体制派の撤退を引き出すため交渉を始めたが、決裂し6日から空爆などを再開していた。
英BBCは現地の医療関係者の話として、化学兵器とみられる攻撃により少なくとも70人が死亡したと報じた。同地区では重体の住民も多くおり、今後も死者が拡大するおそれがある。