自民党総務会 小選挙区で変貌
Decoding the Diet
自民党の総務会は党大会や両院議員総会に次ぐ意思決定機関で、党則は「党の運営および国会活動に関する重要事項を審議決定する」と定めている。政府が法案を閣議決定する前に総務会の了承を必要とする、いわゆる「事前審査制」が、長く政府・首相官邸に対する党の独自性を象徴する慣例とされてきた。総務会長は党三役で幹事長に次ぐナンバー2のポストで、大物議員が就いてきた。
1990年代には、政治改革法案を党議決定しようとした当時の党執行部を反対派が総務会を根城に押し返し、事実上、骨抜きにする例もあるほど、総務会は強力な存在だった。だが、中央省庁の再編と官邸主導を制度化した2000年代から、総務会の位置付けは変貌し始める。
衆院への小選挙区制導入とともに党執行部の権限が強力となり、徐々に総務会での個々の議員の発言力は弱まってきた。政治改革法案では反対派として総務会を活用した小泉純一郎氏は政権を担当すると官邸主導を推進。政治生命をかけた郵政民営化法案では、慣例だった全会一致原則を崩し、多数決による了承になった。
総務会による事前審査制には賛否両論がある。政策決定における総務会のかかわり方は、政権と党の関係を示している。