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サッカー日本に欠かせぬ「失敗恐れず戦う姿勢」

サッカージャーナリスト 大住良之

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サッカーのワールドカップ開幕まで約80日。ベルギー東部のリエージュを舞台にマリ、ウクライナと国際親善試合を戦った日本代表だったが、マリとは1-1の引き分け、ウクライナには1-2で敗れた。

バヒド・ハリルホジッチ監督は今回の試合に呼ぶはずだったMF香川真司やDF吉田麻也、酒井宏樹といった選手たちが故障で不在だったことを再三語った。だがマリ戦、ウクライナ戦とも彼らがいるかどうか以前のプレーレベルの低さで、ここ10年ほどの日本代表では最も低調なパフォーマンスだった。

3月23日のマリ戦の先発はGK中村航輔、DF宇賀神友弥、昌子源、槙野智章、長友佑都、MF長谷部誠、大島僚太、森岡亮太、FW久保裕也、大迫勇也、宇佐美貴史。

Jリーグで好調な大島、ドイツ2部で4試合連続得点の宇佐美に期待がかかったが、大島は攻撃面でいいプレーを見せていたものの30分すぎに足を故障して交代。宇佐美は相手の厳しい守備に後ろを向いてばかりで、攻撃をけん引するには至らなかった。

前半終盤に1点を先制された後半はマリの守備(個人と組織)がよくなり、日本にはシュートチャンスさえなかった。その状況を救ったのは70分に久保に代わって投入された本田圭佑でも、その前に森岡に代わったJリーグ得点王の小林悠でもなかった。60分に宇佐美に代わってピッチに送り込まれたデビュー戦の中島翔哉だった。

繰り返されたバックパスや横パス

多くの選手が「自分のところで失敗したくない」とばかりにバックパスや横パスを繰り返した。一方、中島はボールを受けると果敢にターンし、ドリブルで進み、攻撃を切り開いていった。後半追加タイムが3分を回った最後のプレーで日本が同点に追いついたのも、最後のシュートを打ったのが中島だったということ以上に、中盤でボールを受けターンしながら相手をかわして前進し、左でフリーになった小林に好パスを出したのが中島であった点に注目しなければならない。

その中島と、唯一「ワールドカップクラス」であることを示した長友を除けば、マリ戦は過去10年ほどの日本代表の試合で最も低調な内容。ハリルホジッチ監督も「ワールドカップまでにやらなければならないことだらけ。戦術もフィジカルもメンタルも、すべての面で改善しなければならない」と認めざるをえなかった。

4日後の27日、今度はウクライナが相手だ。マリはワールドカップで2戦目に対戦するセネガルを想定したアフリカのチーム。そしてウクライナは第3戦で当たるポーランドと似たタイプの東欧のチーム。よりスピードのあるウクライナを相手に、4日前に「最悪の試合」をしてしまった日本がどう立て直すか、注目された。

先発はGK川島永嗣、DFは酒井高徳、植田直通、槙野、長友、MFは長谷部、山口蛍、柴崎岳、FWは本田、杉本健勇、そして原口元気。

大迫がスピードでマリのDFに太刀打ちできなかったことを受け、今季Jリーグで成長著しい杉本がどんなプレーを見せるか注目されたが、大型で激しいウクライナのDF陣を相手にほとんど持ち味は出せなかった。

この試合の前半はパスが回るごとに苦しくなるといった展開で、攻撃は全くできず、日本代表がこれほど下手に見えることは、ここ10年以上記憶にないほどだった。下手に見えるのはボールを受けた選手が孤立して周囲との関係が築けないからであり、プレーの選択肢がない状況で相手に詰め寄られ、フィジカルで圧倒されて奪われたりミスパスが繰り返されたりしたためだった。

守備もウクライナの攻撃陣の自在なポジションプレーに混乱されてたびたび右サイドを突破された。21分には相手DFラキツキーの強烈なシュートが植田の頭に当たってそのままゴールに入り、またも先制点を許した。

ただ、前半の終盤に柴崎のFKに対し相手守備陣が中途半端になったところを突いて槙野がヘディングシュートを決め、1-1の同点に追いついたことで精神的には随分楽になったようだ。

後半は見違えるようなプレーも

そして後半、日本は見違えるようにプレーした。果敢に相手のボールを奪い、そこから攻撃を繰り出すようになったのだ。右の酒井高、左に長友の両サイドバックのオーバーラップもみられ、より相手ゴールに向かってプレーできるようになった。69分に右サイドを破られて2点目を許し、これが結局決勝点となったが、試合内容としてはこの45分間が今回のシリーズで最もよかった。

ハリルホジッチ監督は79分に中島を投入。そこからは日本がウクライナのゴールを包囲して攻め続けるという形になった。決定的な形も何回かあり、同点になってもおかしくなかった。

「ハーフタイムに指示したのは、両サイドの守備について。右サイドは本田と酒井高でつぶし、左で相手が三角形をつくってくるところには長友、長谷部、柴崎の3人で対応するように言った」とハリルホジッチ監督。

監督の的確な指示が守備を安定させ、積極的なプレーを引き出したのか。それもあるかもしれない。しかしそれ以上に、前半の状況に選手たちが「何とかしなければ」と積極的になった結果だったのではないか。

「積極的にプレーする」。今回の2試合を通じてのテーマはまさにそこだった。

「自分のところでボールを失いたくない。自分が簡単に抜かれたくない」という姿勢では、サッカーにはならない。攻撃は横パスとバックパスばかりで相手に脅威を与えられない。守備は後手後手になって奪うポイントを設定できず、最後のところで辛うじてはじき出すという形になってしまう。

失敗を恐れずに戦う姿勢が少しでも戻れば、ウクライナ戦の後半のような試合ができる。それこそ、ワールドカップで何かを成し遂げるための最初の一歩だ。守備の連係や攻撃のコンビネーションといった戦術的な面も、1試合を走り抜いて戦い抜くフィジカルの強さも、ベースにそうした姿勢があってのものだ。

W杯へ底を打ったといえるか

マリ戦からウクライナ戦にかけての日本代表は、その基本的姿勢が全くなく、非常におかしな状態だった。それは、ハリルホジッチ監督が「競争」をあおり立て、自分自身の言ったことを実行しないと切り捨てるという雰囲気をつくりすぎたためだったのか。それとも、ワールドカップまで3カ月近くある状況で、選手たち自身が集中しきれなかったのか。

「過去10年間で最も低調」だったマリ戦からウクライナ戦前半にかけての135分間。それがワールドカップに向けての「底」であったと、後に言えるだろうか。ウクライナ戦の後半に底を打ち、ワールドカップのあの素晴らしいプレーにつながったと、私たちは3カ月余り後に笑って話せるだろうか。

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