海自練習機 比に譲渡 無償で初、中国進出念頭
【サングレーポイント=共同】フィリピン・マニラ近郊のカビテ州サングレーポイント海軍基地で26日、日本がフィリピン海軍に海上自衛隊の練習機「TC90」3機を引き渡す式典が開かれた。日本の装備品を外国に無償で譲渡する初のケース。南シナ海の軍事拠点化を進める中国を念頭に、海上警備能力の向上を促す狙いだ。
出席した福田達夫防衛政務官は「(譲渡は)今後のインド太平洋地域の安定と、両国関係の発展に寄与する」とあいさつし、フィリピンのロレンザーナ国防相は謝辞を述べた。
昨年5月、自衛隊の中古の防衛装備品を他国に無償で譲渡できるようにする改正自衛隊法が成立したのを踏まえ、対価なしでの提供とした。昨年3月に引き渡した2機は有償貸与だったが、27日に無償譲渡に切り替える。これで両国が合意した計5機の引き渡しが完了した。
フィリピン海軍はTC90を警戒監視や災害救援に使う考え。1月には、昨年貸与されたTC90を、中国と領有権を争う南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)周辺の上空に飛行させ、中国海警局の公船やフィリピン漁船を確認した。
日本側が2016年11月から海自徳島航空基地で続けてきたフィリピン海軍パイロットの教育訓練も今月で終了した。