豚肉の国際価格2割安 中国の対抗関税響く
対象拡大予想、大豆も軟調
米中両国による輸入制限の方針が、国際商品市況に影響を与え始めた。トランプ米政権による鉄鋼・アルミニウムの輸入制限に対抗し中国が追加関税を課すとした豚肉の国際価格が下落した。輸入制限の対象になるとの観測で大豆も値下がり基調にある。
豚肉価格の指標となるシカゴ・マーカンタイル取引所の赤身豚肉(リーンホッグ)の先物価格(2018年4月物)は23日終値が1ポンド58.4セント。1カ月前に比べ2割下落した。
資源・食糧問題研究所の柴田明夫代表は「中国に輸出できなかった分が市場に流れ、荷余り感が出るとの見方が強まった」と指摘する。市場では当面値下がりが続くとの見方が目立つ。米国産豚肉は日本の市場で約15%のシェアを占める。輸入品の安値は国産豚肉の値下がり圧力になる。
中国による輸入制限の対象になるとの見方から大豆価格も軟調だ。国際指標となるシカゴ市場の23日の先物価格は、1ブッシェル10.28ドル。3月上旬に比べ4%下がった。
シカゴ相場は米国内の大豆の需給バランスに影響されやすい。貿易制限で米国で大豆が供給過剰になるとの観測が出ている。
鋼材価格も下落を懸念する声が出る。米国は17年に約3500万トンの鉄鋼を輸入した。米国にこれまで販売していた国の製品がアジア市場に流れ込み、だぶつきの原因となる恐れがある。
米国内の鋼材価格は急上昇している。一方、中国は旧正月(春節)休み明け以降上昇していた価格がここにきて下落に転じたもよう。東京製鉄の今村清志常務は「米国以外の地域は対応策が見えず、相場の方向感が定まらない」と分析する。
家電や建築に使うホットコイル(熱延広幅帯鋼)の東アジア価格は1トン630ドルと前月に比べて20ドル(3%)高い。中国や日本などで需要が好調だ。
中国の過剰な生産能力の削減で余剰品も消え、相場は2年近く上昇基調にある。電炉大手の幹部は「ようやく適正水準となったアジアの需給環境が崩れないか心配だ」と話す。