中国平安保険、フィンテックに1兆7000億円投資へ 今後10年間で
【香港=粟井康夫】中国の民営保険大手、中国平安保険は人工知能(AI)やブロックチェーンなどフィンテック分野に今後10年間で1000億元(約1兆7000億円)を投資する方針を明らかにした。年間収入の1%を研究開発に投じ、金融とテクノロジーの融合を加速する。
陳心穎・最高執行責任者(COO)は決算記者会見で「過去10年間にフィンテックの研究開発資金として500億元を投じた。顔や音声による認証技術の精度は99%を超え、世界をリードしている」と実績を強調した。巨額の研究開発投資を続け、フィンテック分野で主導権を保つ考えを示した。
一方、個人間の資金の貸し借りをネットで仲介するP2P(ピア・ツー・ピア)金融最大手、陸金所など傘下4会社の上場計画に関しては「市場環境や業務の発展に応じて是非を決定する」と明言を避けた。中国の金融監督当局は借り入れ抑制のためP2P金融への監視を強めており、陸金所の上場時期は当初予定よりも後ずれするとの見方が出ている。
平安保険の2017年12月期の純利益は890億元と前の期比43%増えた。1株当たり配当は1.5元と倍増した。創業者の馬明哲董事長は「1980年以降に生まれた世代で保険の認知度が高まり、業務拡大の主なけん引役になっている」と中国保険市場の拡大に自信を示した。