ホーキング博士、病床で最後の論文 「多元的宇宙」
【ロンドン=共同】「車いすの天才科学者」として知られた英物理学者スティーブン・ホーキング博士が、14日に76歳で死去する直前、宇宙論に関する人生最後の論文を病床で書き上げていたと、18日付の英紙サンデー・タイムズが伝えた。
論文は学術誌が査読中で、内容への評価は出ていないが、宇宙は複数存在し、われわれのものはその一つにすぎないとする「多元的宇宙」の存在の証明に関するもの。ホーキング氏が存命中に論文の正しさが認められていれば、ノーベル賞を受賞した可能性があったと同紙は指摘した。
「永遠の膨張からのスムーズな離脱」と題する論文は、ベルギーの大学教授との共同執筆。この大学教授はホーキング氏を死去2週間前に訪れて論文を完成させたといい、同紙に「ノーベル賞が授与されるべきだった」と話した。
ノーベル賞は存命中であることが受賞の条件。ホーキング氏はアインシュタイン以来の偉大な科学者と評され「ブラックホール蒸発」の理論などが科学界に大きな影響を与えたが、裏付ける証拠は観測できず、ノーベル賞は受賞しなかった。