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国立国際美術館、現代美術の潮流提示(もっと関西)

アート

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大阪・中之島にある国立国際美術館が開館40周年の記念展「トラベラー まだ見ぬ地を踏むために」を開催中だ。同館は現代美術を専門に収集する国内唯一の国立美術館。40年の歴史を現代美術史に重ねて振り返るとともに、パフォーマンス作品を中心にした企画で現代美術のこれからの方向性を提示する。

振る舞いも表現

5メートル近い高さの天井から1本の糸で小さな石がつるされている。宙に浮いたかのような石の周りには3人の人物たち。石に息を吹きかけたり、口笛を吹いたり。緩急をつけ、そんな行為を繰り返す。プエルトリコを拠点に活動する2人組、アローラ&カルサディーラのパフォーマンス作品「Lifespan」だ。

つるされているのは40億年以上も前にできた太古の石だという。息や口笛はいわば「交信」。言葉が発生する以前の人と人とのコミュニケーションであり、人間が自然と共生するための試み、あるいは芸術の起源かもしれない。同館は会期中の毎日、このパフォーマンスを「展示」する。

エスカレーター横の通路で監視員らしき1人の女性がたたずむ。通り過ぎようとすると、おもむろに歌い出す。「This is propaganda.You know.You know.」という英語の歌詞。これもまたパフォーマンスだ。

通常は壁に掲示される作品説明が見当たらない。代わりに女性が「ティノ・セーガル『これはプロパガンダ』(2002年)」と説明し締めくくる。これも含めて作品なのだが、ではそもそも作品とはどう定義すべきなのか。根源的な問いが浮かんでくる。

受け手との関係

マレーシア出身のヒーメン・チョンの「ショート・パフォーミング・ストーリー」は事前に申し込んで参加する。参加者はインストラクターからごく短い小説を口頭で一言一句、暗記できるまで教わる。今展のために執筆された小説だ。平均3時間ほどかかり、暗記できるまで帰れない。参加者もパフォーマンスの一部なのだ。小説は将来にわたり公表されることはないし、内容を知るためには参加するしかない。問い直されるのは、作品における作り手と受け手の関係性だ。

パフォーマンスは20世紀後半から本格化した現代美術の一大潮流だ。身体的な行為そのものが作品となり、絵画や彫刻のような明確な形を持たない。その特性上、収蔵や展示は難しい場合が多いが、同館は真正面からこの課題に取り組んできたことが今展からもわかる。

「近年、世界の現代美術の専門館がパフォーマンスにシフトしている。その流れを明示したい」。企画した同館の植松由佳主任研究員は話す。展示するのは45組の作家の作品で、今展のための新作も多い。

2人組のジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラーの「大阪シンフォニー」も、大阪の街角や市場などで録音した音を組み合わせた新作。通常は展示に使用されない地下1階の廊下で、来場者は貸し出されたスマートフォンとイヤホンを使って様々な音を聞く。森村泰昌や大竹伸朗、米田知子らの館蔵品も新鮮に映る。

同館は1970年の大阪万博で国内外の美術品を集めた万国博美術館の施設を使い、77年に万博跡地の万博記念公園に開館した。中之島に移転したのは04年。収蔵品第1号はスペインの巨匠、ジョアン・ミロが大阪万博のため来日して制作した「無垢(むく)の笑い」。幅12メートルの巨大な陶板作品は現在も地下1階に常設展示される。以来、収蔵品は8000点を超えた。今展で展示されるのはそのごく一部だが、20世紀の美術史の一断面を振り返るには十分な内容だ。

同館の山梨俊夫館長は「開館40周年は、10年後の開館50年を射程に入れた、小さいながらも大事な節目」と述べる。現代美術の様相は常に変容する。変容していくからこそ現代美術なのだ。今展が切り取ったのは今後も続いていく現代美術史の「今」。会場内を気の向くままに巡るだけでも、とかく難解な現代美術への理解は確実に深まるはずだ。5月6日まで。

(大阪・文化担当 田村広済)

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