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クアルコム買収禁止 安保が理由の違和感

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シンガポールに本社を置く通信用半導体大手ブロードコムが、米クアルコムの買収断念に追い込まれそうだ。両社は株主の委任状争奪戦で買収の是非を問おうとしていたが、トランプ米大統領が12日に買収禁止を命令。米ブルームバーグ通信によると、ブロードコムはちかく買収断念を表明する見通しだという。命令の根拠は「安全保障上の理由」だが、安保の定義が曖昧で米政権のちぐはぐさが否めない。ブロードコムの脅威とは何なのか。

米国エコシステム崩壊への懸念

米政権が考える脅威とは、通信・IT(情報技術)分野での中国の台頭だ。「クアルコムへの敵対買収で空いた隙間を、中国が猛烈に埋めようとしてくる可能性が高い」。外国企業の対米投資を審査する対米外国投資委員会(CFIUS)は、ブロードコムによる買収に異議を唱える理由を、こう説明していた。

隙間の代表格が次世代通信技術の「5G」だ。5Gが描く世界は「2時間の映画を3秒でダウンロードする」「遠隔地からロボットをスムーズに操作する」「目の前の風景と仮想の動画が一体化する」「家電、クルマ、ドローン、身につけるセンサー類が同時にスマートフォン(スマホ)・タブレットとつながる」といったもので、今後の通信ビジネスの主戦場となる。日中を含めて世界の通信・IT企業が開発とM&A(合併・買収)による囲い込み競争を繰り広げており、その主要メンバーの一角が、クアルコムであり、ブロードコムだ。

ブロードコムがクアルコムを傘下に収めた場合、どのような事態が想定されるのか。ブロードコムの経営は採算に厳しいことで有名で、クアルコムが手がける時間が掛かりそうな開発プロジェクトは整理される可能性がある。一方でブロードコムは、中国携帯大手の華為技術(ファーウェイ)と密接な関係があるとされる。そして中国政府は5Gの覇権奪取に国を挙げて取り組んでいる。

クアルコムの生態系(エコシステム)が破壊され、ひいては米国の通信・IT産業が淘汰される。一方でファーウェイを含む中国系のエコシステムは、クアルコムの先端技術を取り込み、肥大化していく。米政権が懸念するのは、こうしたストーリーだ。

米政権が守ろうとしているクアルコムのエコシステムのすごさは、世界で流通しているスマホとタブレットを分解すればすぐに分かる。大半の端末には「スナップドラゴン」と名付けられたクアルコム製のシステム・オン・チップ(SOC)が搭載されている。複数の機能をまとめて制御するSOCは「頭脳」に相当する部品で、その能力は端末がなめらかに動くかを左右する。

この技術の利用ライセンスを求めて、世界中の通信・IT企業がクアルコムにこうべを垂れる。欧州やアジア各国の独禁法の対象企業としてクアルコムの名前が度々あがるのも、この圧倒的な技術力と占有率によるものだ。

強さの源泉を歴史的にさかのぼると、CDMA(符号分割多元接続)という通信技術に行き着く。少ない基地局で多数の端末接続を可能にする技術で、1970年代に米軍が軍事用に開発したものが基礎となっている。軍事関連の補助金などをフル活用して先端技術を開発し、それを民間転用してライセンス収入を稼ぐ。クアルコムは、この方程式で成長を遂げてきた。そして今も、米国防高等研究計画局(DARPA)と様々な共同研究を行っている。

独禁法から大統領令への違和感

こうした米国の産業育成モデルの手本企業の買収に対して、米政権はアレルギー反応を起こしたわけだが、そのロジックに一貫性は感じられない。米メディアによると、CFIUSとは別な動きとして、米連邦取引委員会(FTC)がブロードコムを反トラスト法(米独占禁止法)で調査していたと報じている。独禁法で攻めきれなかったため、大統領の命令という異例の方法を採用したとも言えそうだ。

米政権のいら立ちの対象は、ブロードコムやファーウェイだけではないかもしれない。アリババ集団、騰訊控股(テンセント)、京東集団(JDドットコム)、小米(シャオミ)など、米国が世界をリードしてきたIT(情報技術)分野で、中国企業の急成長が際立ってきた。技術的にも新ステージに入りつつある。スマホ・タブレット市場は製品普及が一巡し、今後は成長が鈍化する可能性が大きい。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」と、それを可能にする5G、クルマのネット接続を可能にする車載端末などが、今後の通信ビジネスの核となる。政府として産業保護に積極的に動かなければ、大国の地位が揺らぎかねないとの考え方が今の米政権のベースにはある。

ただ、無理筋で持ち出した安全保障上の措置は、中国の立場で見れば経済的脅威で、中国が何らかの対抗措置を打ち出してもおかしくない。また、実際のビジネスは、こうした政府間の思惑を越えて有機的につながっている。クアルコムは製造拠点をほとんど持たないファブレスメーカーで、実際の半導体の製造は受託生産企業(ファウンドリー)が担っている。その1社は中国最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)だ。さらに世界のスマホ販売をけん引するのは、今や中国メーカー。自動運転を可能にする車載端末といった次世代製品の巨大市場も中国だ。米国の技術の保護に重きを置きすぎて、生産販売の足腰を折られる懸念はないのだろうか。

(石塚史人)

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