森友14文書を書き換え 財務省が与党に報告
17年2月以降も、国会答弁と整合性図る?
財務省は12日午後、学校法人「森友学園」への国有地売却の決裁文書に関する調査結果を国会に報告した。財務省や近畿財務局が途中で書き換えた文書は14あり、森友問題が浮上した昨年2月から4月にかけて書き換えられた文書も含まれていた。国会答弁との整合性を図るため、関係者が意図的に書き換えた疑いが濃くなった。野党側の反発は強まりそうだ。
財務省は同日午後1時からの参院予算委員会理事懇談会に、書き換えが指摘された決裁文書に関する同省の調査結果を提出した。同省幹部は「14件の文書の書き換えがあった。あってはならないことだ。深くおわびする」と陳謝した。この後、衆院財務金融委員会理事懇談会でも報告する。
問題になっているのは2016年6月に作成した国有地売却に関する決裁文書などだ。当初の文書とは違う別の文書が存在するとの疑惑が浮上。財務省は捜査当局の協力を得て、調査を進めていた。文書の原本は背任や公用文書等毀棄容疑などで告発を受けた大阪地検が近畿財務局から任意提出を受け、保管していた。関係者によると、捜査当局が原本の写しを財務省に提供した。
財務省がまとめた調査結果は約80ページ。17年2月下旬から4月にかけて、財務省理財局が「貸付決議書」や「売払決議書」など5件の文書を書き換えていたことを認めた。これらの文書の書き換えを反映させる形で他の9件の決裁文書も書き換えていたことも明らかにした。当時の理財局長だった佐川宣寿・前国税庁長官の関与を事実上示したものといえる。
売払決議書には「価格等について協議した結果、学園が買い受けることで合意した」と事前の価格交渉を示唆する記述があったが、書き換え後の文書ではこの部分が削られていた。当初は10年間定期借地契約後に売り払う契約になっていたことに関して「特例的な内容となることから」「理財局長の承認を得て処理を行う」といった記述もあったが、書き換え後は削除されていた。財務省本省の関与をうかがわせる内容だったため、削った可能性がある。
このほか鴻池祥肇元防災相や平沼赳夫元経済産業相ら4人の政治家の名前を含む記述を削った例も見つかった。
財務省は大阪地検特捜部の捜査状況を踏まえながら、書き換えにかかわった本省幹部や近畿財務局職員らの処分を検討する。佐川氏は国税庁長官の辞任に合わせて9日付で減給の懲戒処分を受けたが、麻生太郎財務相は「さらに重い懲戒処分に相当する可能性がある」と述べている。
現時点では書き換えの目的や組織的な関与といった問題の全容は明らかにならない可能性がある。誰がどのような意図で書き換えを指示したのかが今後の焦点になる。財務省は捜査当局に全面的に協力し、全容解明を急ぐ構えだ。解決が長引くほど、野党の反発は強まる。
森友問題を巡っては、売却価格が大幅に値引きされた経緯や「交渉記録は廃棄した」とした佐川氏の国会答弁が問題視されてきた。財務省が文書の書き換えを認めることで、国会がさらに紛糾するのは必至だ。森友問題は行政文書のあり方にまで発展する可能性がある。