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EV時代はまだ来ない 現実解は「マイルドHV」

NextCARに挑む 攻防・電動化(1)

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 英仏政府が2040年までにエンジン車の販売を禁止する方針を打ち出し、100年続いた内燃機関の時代に終わりが見え始めた。17年の株式市場では関連銘柄の株価が急騰する「EV(電気自動車)バブル」と呼ばれる現象まで起きたが、本格普及にはコストなどの課題も残る。環境規制を満たすために電動化をどう進めるか。自動車産業が最適解を探っている。

6日に開幕したスイスのジュネーブ国際自動車ショー。高級車ブランドを中心に先端技術がお披露目される晴れ舞台で、まず耳目を集めたのは英ジャガー・ランドローバー(JLR)など欧州勢の高級EV。米テスラへの対抗意識が鮮明だ。

高級車各社は先進的な企業イメージの発信に余念が無いが、EVの本格普及が始まるのはしばらく先のことだ。華々しく打ち出されたEVの陰で、むしろ今後主流になると目される技術も、静かな存在感を示した。モーターとエンジンを組み合わせて走るハイブリッド車(HV)のなかでも、「マイルドハイブリッド」と呼ばれるシステムだ。

6日に開かれた独アウディの報道向け説明会。舞台の中央に陣取ったのは、マイルドハイブリッドを擁する高級セダン「A6」。同社は今後、排気量3リットル以上の新型車についてはガソリン車であるかディーゼル車であるかに関わらず同システムを採用するという。

アウディの背中を押したのは「2021年問題」だ。トヨタ自動車など日本勢が得意とするハイブリッド車(HV)は、電圧200ボルトを超えるような電気系統の「ストロングHV」だが、マイルドHVは48ボルトという規格。燃費改善の効果は1割程度と言われ、5割といった改善も見込めるストロングと比べると文字通りマイルドだが、欧州連合(EU)の21年からの規制をクリアするには不可欠だ。

「CAFE」の21年問題

EUは域内で事業を手掛ける自動車大手に対し、21年時点で走行距離1キロメートル当たりのCO2排出量を15年比で約3割少ない平均95グラム以下にするよう求めている。「CAFE(コーポーレート・アベレージ・フューエル・エコノミー)」と呼ばれる方法で、個別モデルなどではなく、メーカーの平均値で規制するのが特徴だ。

なかでもEUの基準は世界で最も厳しいとされ、達成できなければ超過分に応じた罰金が科せられる。EVなどを一定の割合にすることを求める米カリフォルニア州などの「ZEV規制」や、中国の「NEV規制」とは異なるアプローチだ。

マイルドHVはストロングHVと同様に発進時にモーターだけで駆動したり、ブレーキ時の回生エネルギーで発電して電気をためたりできる。利点は、電圧が低いためにストロングHVほど複雑な安全機能が求められず、コストが抑えられることだ。ジュネーブショーではA6のほかに、シュコダ(チェコ)もSUVのコンセプト車を一般公開した。

「いくつかの自動車メーカーは21年に向けたレースで後れを取っている」――。調査会社の英PAコンサルティングがまとめたこんな副題のリポートが17年後半、自動車業界内で話題を集めた。VWとダイムラー、BMWの独3社はお膝元である欧州の二酸化炭素(CO2)排出規制をクリアできないという衝撃的な予測だ。

PAコンサルが日欧米韓の11陣営を対象に調べたところ、21年時点で欧州基準を満たせるのは中国・浙江吉利控股集団傘下のボルボ・カー(スウェーデン)とトヨタ、仏ルノー・日産自動車連合、印タタ自動車傘下の高級車ブランドであるJLRの4陣営のみだったという。

凋落ディーゼルを穴埋め

欧州勢にとって、CO2排出量の少ないクリーンディーゼル車で発覚した排ガス不正は大きな誤算だった。不正発覚後は消費者のディーゼル離れが進み、17年のドイツ新車市場でディーゼル車の割合は38%と、2年前に比べ10ポイントも落ち込んだ。

フォルクスワーゲン(VW)などはクリーンディーゼルに代わる環境技術としてEVシフトを鮮明にするが、21年時点の欧州新車市場におけるEVの比率は数%にとどまる見込み。電池コストなどを考えると、普及は急速には進まない。

そうなるとまだまだ主役の内燃機関車の燃費を広く、浅く底上げしなくてはならない。そこで日が当たったのがマイルドHVだ。独自動車部品大手コンチネンタルのエルマー・デゲンハート社長は「ディーゼルを穴埋めできる唯一の技術はマイルドハイブリッドだけだ」と指摘する。

ディーゼル不正とEUのCAFE規制が相まって急速に注目度が高まっているマイルドHVだが、21年より先を見通しても電動車の主役になりうる。英調査会社IHSマークイットによると30年時点の世界の新車に占めるEVの比率は7%。一方、マイルドHVは世界で3500万台あまりと約3割を占める。

48ボルトという規格を定めたマイルドHVは、VWやダイムラー、BMWなど独メーカー5社が11年に共同開発に取り組むことを発表した。ストロングHVでトヨタの先行を許した欧州勢が、独ボッシュや独コンチネンタルといった部品大手も巻き込んで規格を共通化し、コストを削減する発想だ。

既に部品メーカーは低コストを武器に中国メーカーに提案を始めている。共通規格で数が出るようになれば、各メーカーが独自性を競っているストロングHVに対するコスト競争力が高まる可能性もある。

EUは21年以降も段階的にCO2排出規制を強化する方針で、30年時点で21年のCO2排出量基準よりもさらに3割削減する目標を示している。CAFE方式は日本でも20年に導入される見込みで、自動車各社はEVを含めたベストミックスを模索することになる。

EVなどを一定割合で扱うことを求める米カリフォルニア州や中国の規制では、燃費改善効果が大きい「ストロング」であってもハイブリッド車(HV)はエコカーと見なされない。だがメーカー単位の燃費改善が必要なCAFE規制では「大きな戦力になる」(トヨタの寺師茂樹副社長)。

ディーゼル車の排ガス不正を指摘したことで知られる米国の非営利団体、国際クリーン交通委員会(ICCT)によると、16年時点のトヨタの平均CO2排出量は走行距離1キロメートル当たり105グラム。VWやダイムラーなど主要8社の平均値(同118グラム)を大きく下回り、トップに立つ。

多様化する「電動化」

既に量販しているストロングHVはトヨタの平均燃費の引き下げに大きく寄与している。欧州トヨタのジェラルド・キルマン副社長はジュネーブ国際自動車ショーを前に、「マイルドHVは進むべき道ではない」と語った。

一方、日産自動車は別の道を探る。エンジンで発電し、モーターだけで駆動する独自のハイブリッド技術「eパワー」の搭載車種を順次拡大する方針を打ち出した。「シリーズハイブリッド」と呼ばれ、EVのような加速性能とガソリン車並みの航続距離の両立で人気を呼びつつある。

マツダは「夢のエンジン」と呼ばれたロータリーエンジンを19年をメドに投入するEVの航続距離を伸ばす「レンジエクステンダー」として復活させる見込みだ。燃費に難があったロータリーだが、一定の回転数で発電し続ける条件下であれば小型で高出力という特長をいかせる。電動車は規制と技術の推移を横目でにらみながら、多様化が進みそうだ。

(企業報道部 白石武志、ジュネーブ=深尾幸生)

[日経産業新聞 2018年3月8日付]

NextCARに挑む 攻防・電動化
(1)EV時代はまだ来ない (3.13公開)
(2)電池競争 新星は臆さない (3.14公開)
(3)ニーズで割り切り、EVスタートアップ (3.15公開)
(4)「EVシフト」操る中国 (3.16公開)

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