インドネシア、発電用石炭に上限価格 国営電力を救済
時価の3割安、石炭会社に打撃
【ジャカルタ=鈴木淳】インドネシア政府は9日、同国内の火力発電用の石炭について、現在の市場価格より3割ほど安い1トンあたり70ドルの上限価格を導入したと発表した。資源価格の上昇でコスト高に苦しむ国営電力PLNを救済する色合いが強く、時価より安い価格での販売を余儀なくされる石炭会社には大きな打撃となる。資源関連企業の業績に水を差す懸念も出ている。
エネルギー・鉱物資源省によると、上限価格は2019年末までの時限措置で、PLNなどが持つ国内発電所で使われる石炭が対象となる。70ドルを下回った場合は時価で取引する。石炭会社は生産量の一定割合を国内発電所向けに販売することが義務付けられており、現状では市価よりも安い価格での販売を事実上強制される。
政府は上限価格の導入に伴い、国内発電用に石炭を販売した企業に10%の増産を認める措置も合わせて発表し、資源企業の業績悪化への懸念に一定の配慮をした。
インドネシアでは資源価格の上昇に伴い発電コストが上昇しているものの、政府は消費低迷への懸念から消費者に販売する電力価格を据え置いているため、PLNの財務が悪化していた。政府支出の増加を嫌ってPLNへの補助金を増やすのではなく、民間を含む資源関連企業に負担を求めたことは国内外から批判を浴びそうだ。
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