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文楽、新時代に挑む

危機越え「ルネサンス」へ

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大阪で生まれた伝統芸能、人形浄瑠璃文楽。三味線の演奏とともに太夫が語る物語に合わせ、1体の人形を3人で操って芝居をする世界に類を見ない芸能だ。誕生から300年余にわたって、大阪の庶民に愛され、育まれてきた文楽で、このところ重要な名跡の襲名が相次いでいる。脈々と芸を受け継いできた伝統芸能の世界は今、転機を迎えている。

補助金騒動/続く世代交代

2012年、橋下徹大阪市長(当時)が文楽協会への大阪市からの補助金を見直す方針を打ち出した。騒動のさなか、太夫の人間国宝、竹本住太夫が病に倒れ、一度は復帰したものの、14年に現役を引退。竹本源太夫(15年に死去)、豊竹嶋太夫も相次いで引退し、現在太夫の人間国宝は不在に。人形遣いでは16年に人間国宝の吉田文雀が亡くなるなど、ベテランが次々舞台から去り、次世代の育成が急務になっている。

文楽関係者の危機感は強く、ここにきて世代交代の動きが広がってきた。今年1月に太夫の豊竹咲甫太夫が六代目竹本織太夫を襲名したのに続き、4月には人形遣いの吉田幸助が祖父の名跡の玉助を継いで五代目となる。15年に吉田玉女が二代目玉男、17年には豊竹英太夫(はなふさだゆう)が六代目呂太夫をそれぞれ襲名した。

現役で唯一の、最も重要な山場を担う切場語り、豊竹咲太夫は「歌舞伎では襲名が多く、話題性もある。文楽でもそのようにしたい」と話す。襲名はメディアで取り上げられることも多く、新たな観客が劇場に足を運ぶきっかけになる。

文楽の興行体制を巡っては過去に様々な変遷があった。18世紀初め、竹本座と豊竹座が競い合って文楽の隆盛期を迎えたように、明治時代は、現在のルーツでもある文楽座のほかに、彦六座や稲荷座といった劇場があり、人気を競い合った。だが、経営不振などで次々と閉鎖に追い込まれ、大正期には興行は文楽座1座に集約されていく。

その文楽座も、座主の植村家が1909年に経営権を松竹合名会社(現在の松竹)に譲渡。松竹の経営は戦後まで続くが、労働運動の高まりを背景に49年、組合派の「三和(みつわ)会」と会社派の「因(ちなみ)会」に分裂したことで興行成績が低迷。巨額の赤字を抱えた松竹は経営権を手放す。

こうして63年に発足したのが文楽協会だ。国や大阪府、大阪市などの助成金を受けて運営する体制が確立した。文楽は構造的に黒字化が難しい。生身の俳優より小さい人形を見せるためには歌舞伎のような大劇場での公演は難しく、料金も歌舞伎に比べだいぶ安い。

文楽協会発足後も厳しい状況は続く。この頃、文楽の公演をしていた道頓堀の朝日座では年間観客数が5万人程度。「舞台上の技芸員より観客の数が少ないこともあった」(京都市立芸大の後藤静夫名誉教授)ほどだった。観客が戻ったのは、84年の国立文楽劇場の開場後だ。

橋下元大阪市長による改革で文楽を取り巻く環境は厳しくなったが、メディアで取り上げられることが増え、文楽への関心が高まるきっかけになった面もある。実際、文楽劇場の年間来場者数は、12年度に前年度比14%増の10万3791人となり、以来10万人超を維持している。

民間でも文楽を応援する動きが活発になった。15年に始まった「うめだ文楽」は在阪の民放5局(18年は3局)が主催。若者が多く訪れるグランフロント大阪(大阪市北区)を会場に、文楽を見たことのない若い観客の掘り起こしを狙う。日本財団が立ち上げた「にっぽん文楽プロジェクト」は組み立て式の移動舞台を日本各地に運んで公演する。3月17~20日は熊本で公演予定だ。

17年には文楽協会の理事長に大阪ガス会長で大阪商工会議所会頭の尾崎裕氏が就任。それまで理事長を出してきた近鉄グループから約50年ぶりの変化だ。文楽は長らく船場の旦那衆が支えてきた。近鉄一社から、大阪の経済界全体で文楽を支える体制への転換が期待されている。

大阪市は「ムムム!!文楽シリーズ」と題し、気軽なスタイルで文楽を紹介するイベントを開催。3月9~11日はヒルトンプラザイースト(同)で無料のミニ公演を実施する。

文楽の技芸員も16年に主に福利厚生のための団体だった一般社団法人人形浄瑠璃文楽座むつみ会を、技芸員全員を代表する「一般社団法人人形浄瑠璃文楽座」に改組。文楽を取り巻く環境を改善すべく、積極的に動き出した。過去、何度も困難を乗り越え、300年余の歴史を紡いできた文楽。新しい時代に向け再生(ルネサンス)なるかが問われる。

江戸期、2座で隆盛

<大阪・道頓堀がルーツ>

文楽のルーツは、竹本義太夫が1684年に創設した、道頓堀の劇場「竹本座」に遡る。大坂・天王寺出身の義太夫は、三味線などの楽器に合わせて物語を語る「浄瑠璃」の新たな流派として「義太夫節」を確立。人形芝居と組み合わせた「人形浄瑠璃」の一座として興行を始める。

義太夫節の人気を決定的にしたのが、義太夫と組んだ近松門左衛門だ。それまでの浄瑠璃とは一線を画す、ドラマ展開や人物造形にすぐれた作品を次々と世に送り出した。1703年には義太夫の弟子、豊竹若太夫が独立して「豊竹座」を創設。道頓堀に並ぶ2座が競い合って、隆盛を誇った。18世紀半ばには、歌舞伎をしのぐ人気で「操り段々流行して歌舞伎は無が如し」といわれるほどだった。

歌舞伎が取り込む

<平成に連なる人気作>

三大名作と呼ばれる「菅原伝授手習鑑(てならいかがみ)」「義経千本桜」「仮名手本(かなでほん)忠臣蔵」は歌舞伎でも現在まで度々上演される人気演目だ。18世紀半ばに、いずれも竹本座で初演。後に歌舞伎に取り入れられた。

「菅原」は菅原道真が九州・大宰府へ流された事件が題材。「千本桜」は源義経にまつわる人々のドラマだ。「忠臣蔵」は赤穂浪士の討ち入り事件。時代設定を室町時代に移し、仇(あだ)討ちとそれに翻弄される人々を描く。

庶民の生活を描く「世話物」では、1703年初演の「曽根崎心中」が有名だ。実際の心中事件が題材で事件の翌月に舞台化され、大評判となった。長く上演が途絶えていたが、1955年に復活して以来人気演目になっている。

解説付き、夜公演も

<幕見席なら500円から>

文楽の公演は本拠地である大阪・日本橋の国立文楽劇場のほか、東京の国立劇場(千代田区)、春と秋の地方巡業などで見られる。

文楽劇場での公演は通常1、4、6、7~8、11月に開かれる。1、4、11月は2部制の本公演で、それぞれ休憩を挟んで4時間ほど。6000円の1等席と2400円の2等席があり、文楽劇場のサイトや劇場窓口でチケットを購入する。1幕だけの「幕見席」もあり、当日先着順で販売する。料金は500~2000円ほどだ。

6月の「文楽鑑賞教室」は解説付きで、初心者にお薦めだ。7月下旬から8月上旬は「夏休み文楽特別公演」で子ども向けの「親子劇場」、午後6時半開演の「サマーレイトショー」などがある。

 一部を除き写真は国立文楽劇場提供。
 グラフィックとレイアウトは田口寿一、鳥越一司、五十嵐孝、取材は小国由美子がそれぞれ担当した。

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