トランプ氏、輸入制限を通商交渉の取引材料に
【ワシントン=鳳山太成】トランプ米大統領は6日、鉄鋼とアルミニウムに発動する輸入制限に関して「米国に何かしてくれない限り(関税を解除する)選択肢はない」と述べ、各国との通商交渉で圧力をかける取引材料として使う考えを示した。安全保障を理由に関税を課すのが本来の目的だが、他国から関税引き下げなどの譲歩を引き出す交渉戦術にも活用するとみられる。
スウェーデンのロベーン首相との共同記者会見で述べた。「北米自由貿易協定(NAFTA)でカナダ、メキシコと取引ができるなら関税を課す理由はない」と述べ、米国が望む形で再交渉がまとまれば、カナダとメキシコへの関税を解く方針を明らかにした。
NAFTA以外の国に対しても輸入制限をテコに譲歩を求める。一例として「欧州連合(EU)が米国製品を輸出できなくしている障壁を取り除けば(鉄鋼・アルミの関税解除で)協議を始められる。そうでなければ(関税を)そのままにする」と説明した。対日貿易でも同様の方針とみられる。
改めて輸入制限導入への決意に揺るぎがないことを示した上で、通商交渉で譲歩した国に対しては、個別に関税を解く可能性を示唆した格好だ。トランプ氏は鉄鋼とアルミにそれぞれ25%、10%の関税をすべての国に「無期限」で発動すると表明している。週内にも正式決定する。
ドナルド・トランプ元アメリカ大統領に関する最新ニュースを紹介します。11月の米大統領選挙で共和党の候補者として、バイデン大統領と再び対決します。「もしトラ」の世界はどうなるのか、など解説します。
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