公取委、杉本委員長再任 「新たな時代の競争政策を」
公正取引委員会の委員長に再任された杉本和行氏は6日の記者会見で、ビッグデータの普及やグローバル化など企業を取り巻く環境が変化していることを踏まえ、「新しい時代に合った競争政策をどんどん実行していきたい」と述べた。
杉本氏は2013年3月に委員長に就任し、今月5日に再任された。竹島一彦前委員長に続き2期目を務める。独占禁止法は公取委委員長職の任期を5年とする一方、70歳の定年も定めており、現在67歳の杉本氏は20年9月に定年を迎える。
1期目では携帯電話市場での不透明な契約慣行の是正に向けた指針や、ビッグデータの独占に対する独禁法の運用指針を策定するなど、経済のグローバル化やオンライン化に対応するための施策を打ち出した。杉本氏は「競争的な環境を整備し、イノベーションを進展させる」と話した。
今年2月にはフリーランス人材の保護に向け、労働分野に独禁法を適用するための報告書も公表。「公正で自由な人材獲得競争が行われることを期待している」と述べ、多様な働き方を後押しする姿勢を示した。
2期目では、1期目にまとめた新たな執行方針をもとに具体的な案件の掘り出しに力を入れるとみられる。とりわけ米アップルやグーグルなどIT(情報技術)の巨大企業の市場支配力が強まるなかで、競争環境を維持するための施策の重要性が増している。
国内では、ふくおかフィナンシャルグループ傘下の親和銀行と十八銀行の統合を巡って銀行側との対立が続き、統合計画は無期延期状態になっている。杉本氏は「競争力を発揮するための企業結合は非常に望まれる」としながらも「競争が制限されると独禁法違反なので排除措置命令を出すことになる」とけん制した。
リニア中央新幹線の建設工事をめぐる入札談合事件については、「これまで反競争的な行為の摘発で防止してきたが、(業界内に)まだ浸透していないようだ」と話した。
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