「M&A価格高すぎる」 バフェット氏、株主への手紙で
【ニューヨーク=山下晃】「M&A(合併・買収)の価格は高すぎる」。米複合企業のバークシャー・ハザウェイを率いる著名投資家のウォーレン・バフェット氏は24日、買収価格の高騰で大型買収を避けていることを明らかにした。毎年恒例となっている株主への手紙に記した。
バフェット氏は大型M&Aの条件として、良い経営者がいることやその会社が内部的な成長力があることなどを示した。そして重要な要素である「合理的な価格」が条件に合わず大型買収を見送っていたことを明らかにした。
株主への書簡の中でバフェット氏は「2017年に我々が検討したすべての案件で買収価格は魅力というにはほど遠かった」との見解を示した。低金利下の環境で借金を活用すれば実現が可能であっても同氏はそうした借り入れに依存した買収からは距離を置く可能性を示した。
一般的な米国株式相場の水準についての言及は避けたものの、多くの経営陣がM&Aを追い求めていることで、買収価格に過熱感が生じていることを示した。大型買収から遠ざかっていることから保有する現金は1160億ドル(12兆5000億円)と昨年1年間でおよそ300億ドル増えた。
株式投資ではアップル株の持ち分が17年末時点で282億ドルに上り、米銀大手ウェルズ・ファーゴ(292億ドル)に次いで2番目に大きな投資となっている。「値動きや目標株価を基準に株式の売買はしない。投資対象の『ビジネス』が成功すれば最終的に投資もうまくいく。米国では株式投資は追い風を受けている」と長期的な米株投資に強気な見方は崩していない。
バークシャーの17年12月期の連結純利益は449億ドルと前の期比87%増加した。大型ハリケーンが相次ぎ米国を襲った影響で保険事業が苦戦したが、減税による一時的な会計上の利益が押し上げ要因となった。
著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米バークシャー・ハザウェイの投資動向や解説、同氏に学ぶ投資術に関する記事をまとめました。
ウォーレン・バフェット氏(Warren Buffett) 1930年、米中西部ネブラスカ州のオマハに生まれる。6歳からガムを売り歩き、11歳で株式投資を始めた。「割安株投資の父」ベンジャミン・グレアム氏に感化されて投資家の道を志す。1965年に繊維会社だったバークシャー・ハザウェイの経営権を握り、同社を母体に投資や事業投資を展開して財を築いた。優良銘柄を本質的価値より低い価格で買う投資スタイルで知られ、「オマハの賢人」との異名を持つ。大富豪ながら質素な生活で知られ、コーラとハンバーガーを好む。